原作者の意見が脚本家に伝わらなかった…『セクシー田中さん』制作トラブル、小学館報告書でも“齟齬”露呈
マイナビニュース / 2024年6月4日 5時0分
小学館は3日、昨年10月クールに放送された日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』の制作過程で起きたトラブルなどについて、特別調査委員会による調査報告書を公表した。5月31日に公表された日本テレビの社内特別調査チームの調査報告書と同様に、日テレ・小学館双方の認識の“齟齬”が浮き彫りとなった。
○原作者の脚本執筆の可能性に合意したことは明らか
この報告書では、今回の経緯を以下の通り説明している。
原作者の芦原妃名子さんが、全10話のドラマの脚本作成において、第7話まで脚本の修正に翻ろうされ、脚本家に要望に沿った脚本を執筆してもらうことが非常に困難と判断し、原作のないドラマオリジナル部分の第9話・10話の脚本を自ら執筆。しかし、ドラマ放送後に脚本家がSNSで困惑したことを投稿し、それに対して芦原さんが経緯の反論をSNSとブログで説明した。すると脚本家へ非難が集中。芦原さんは投稿を削除し、SNSで「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい。」とつづり、急死した。
芦原さんはブログで、ドラマオリジナル部分について、「原作者があらすじからセリフまで」用意すること、「場合によっては原作者が脚本を執筆する可能性もあること」などを“条件”として日本テレビに何度も確認したと説明。しかし、日テレ・小学館双方の報告書によると、日テレの制作側にその認識はなく、当然脚本家にも伝わっていなかった。
だが、小学館の報告書では、「客観的な証拠」として、昨年6月10日に小学館の担当者から日テレの担当者に「ドラマオリジナル展開に関しては、芦原先生の方から、脚本もしくは詳細プロットの体裁でご提案させて頂けませんでしょうか」と確認したところ、日テレの担当者が「ドラマオリジナル展開に関して芦原先生の方から、脚本もしくは詳細プロットの体裁でご提案して頂く点も承知しました」と、“脚本”を含めて回答していることから、「(芦原さんが)脚本を書く場合もあることを合意したことは明らかである」と断じている。
一方、日テレの報告書では、その後のやり取りでは“脚本”という文言が外れており、「詳細プロットのやりとりということにしている」と解釈。ただ、小学館の担当者は、日テレの調査に「本件原作者が脚本を執筆する可能性があることは前から約束されている」と書面回答している。
○第一に尊重すべき原作者の優先順位を…
脚本家へのヒアリングでは、小学館の担当者から日テレの担当者へ、芦原さんによる第8話~10話の詳細プロットが送信されるにあたり、「ネタバレギリギリのライン探りながらバランス見ながら書いてるので、アレンジやエピソード順番入れ替え、セリフの変更は、基本、しないでほしい」と意向を伝えたが、脚本家は知らされていなかったことが判明。ほかにも、小学館側から当初「原作を大事にしてくれる方(=脚本家)でないと難しい」と注意されていたことなど、脚本家が日テレの担当者から知らされていない事項が複数あったことに言及している。
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