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蚊はシリコーンオイルが苦手? - 花王が蚊専用仮想空間を用いて実験

マイナビニュース / 2024年6月6日 18時14分

画像提供:マイナビニュース

花王は6月5日、正確に制御したさまざまな感覚刺激に対する蚊の行動を詳細に把握できる、“蚊に特化した”仮想空間を構築し、実験の結果、蚊は「低粘度シリコーンオイル」が脚につくと、動くものを追いかける能力が低下すること、オイルが付着した際のニオイを記憶して回避行動を取ることの2点を明らかにしたと発表した。

同成果は、花王 ヒューマンヘルスケア研究所、理化学研究所 脳神経科学研究センター 知覚神経回路機構研究チームの共同研究によるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

蚊は、これまで人類を最も(間接的に)殺してきた生物とされ、世界では現在も、蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの感染症によって年間約100万人が命を落としている。そのため、蚊に刺されることから身を守る方法を開発することが急務となっている。

花王は、化粧品などに使用される低粘度シリコーンオイルを肌に塗ると、蚊が肌に留まらず、すぐに飛び立つ“逃避行動”をとることをこれまでの研究で見出しており、その性質を応用した独自の蚊よけを開発しているとのこと。その開発の過程で、蚊がオイルを塗った肌から飛び立った後、脚についたオイルを拭うような動作をしていることを発見したという。

そこで研究チームは今回、オイルに対する蚊の反応をより正確に理解するため、蚊に特化した仮想空間を構築し、実験を行ったとしている。

今回の仮想空間は、蚊が自分の意志で自由に飛んでいると感じるように構築されたもの。この空間を成す装置では、飛んでいる蚊の羽音をマイクで集めて計測することで、蚊の飛びたい方向を分析し、それに合わせて周囲の映像やニオイなどの感覚刺激を変化させるとする。なお、0.005秒ごとに感覚刺激を変化させられるため、蚊の微細な行動変化を捉え、さまざまな感覚刺激がどのように受容されているのかを推測できることが特徴だという。

そして今回の研究では、実験によって蚊について以下の2点がわかったとしている。

低粘度シリコーンオイルが脚に付着すると、動くものを追いかける能力が低下する
低粘度シリコーンオイル付着時のニオイを記憶して回避行動を取る

通常、仮想空間内のLEDパネルに蚊の行動に応じて動く黒い棒を表示させると、蚊は棒を追いかけ、常に棒が目の前にくるように飛ぶという。そこで実験では、脚にシリコーンオイルを付着させ、蚊がどのように追跡するのかを調べたとのこと。すると、オイルを付着させられた蚊は、棒をうまく追跡することができなくなることが確認されたとする。このことから、オイルの脚への付着は、蚊の追跡能力の低下を引き起こすことが判明した。

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