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東工大、磁束集中器を用いない高感度「ダイヤモンド量子センサ」を開発

マイナビニュース / 2024年6月7日 20時53分

測定対象への近接性と高感度化の両立のため、NVセンタからの蛍光を高効率に集める工夫を施しつつ、センサの構成部品の一体化が図られた。また、今回のダイヤモンド量子センサには、磁場感度を決める大きな要因である、スピン位相緩和時間の長い高品質なダイヤモンドを高温高圧法で合成して採用したという。

さらに、センサのノイズ要因を細かく分析することで、量子力学的に決まるノイズ限界程度までノイズを低減することに成功。その結果、5~100Hzの周波数領域で9.4pT/√Hzという高い磁場感度が達成された。この感度は、磁束集中器を用いないダイヤモンド量子センサ単体の感度としては、低周波領域で最も高い値とした。

また、このダイヤモンド量子センサは安定性にも優れ、少なくとも200分間は上述の高感度で動作することが実証された。これは高感度で長時間の測定が可能であることを意味し、およそ40分間の信号を平均化することで検出できる最小の磁場は、1pTよりも小さな0.3pTだったとする。また、現実的な脳磁計測を想定した場合には、数pTの磁場の計測が可能であり、脳磁の検出が期待できるとした。

今回開発されたダイヤモンド量子センサは、測定対象物に近接させやすい設計のため、脳磁計測への応用も容易だという。このような設計のセンサの低周波領域における高感度化および安定化に成功したことは、磁気シールドや冷却装置の必要ない脳磁計測の実現に向けた重要な一歩とした。将来期待される、脳活動の日常的な検診や包括的な脳機能の解明、ブレイン・マシン・インタフェースの社会実装などへつながる貢献が期待されるとした。

研究チームは今後、今回開発されたセンサを動物に対して用いることで、ダイヤモンド量子センサによる脳磁計測を実証するという。また、さらなる高感度化や多チャンネル化の研究も進められており、より脳磁計測に望ましいダイヤモンド量子センサの開発が期待できるとした。生物や医学の分野とも緊密に連携してさらに研究を発展させ、磁気シールドレスな脳磁計測の実現につなげていくとしている。
(波留久泉)



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