『夜の巷』マツコ、『タモステ』タモリ…なぜ2人は“ゴールデンのロケ特番”が成立するのか
マイナビニュース / 2024年6月12日 11時0分
つまり、複数の人気者でも、旬のタレントでも難しい番組を単独で成立させてしまうのが、マツコとタモリのすごさ。今回の放送でそれだけ「別格」であることが証明されたと言っていいだろう。しかも2人は民放各局が重視するコア層(13~49歳など)を上回る年齢だけに、いかに突出した存在であるかが分かる。
単に人気だけなら、他にもゴールデン特番を成立させられるタレントはいるだろう。しかし、ロケ特番で重要なのは、各地域と各住民への対応力。その点でマツコとタモリは芸能人の中でもトップクラスと言える資質や能力を見せている。
2人は常に謙虚であり、大物とは思えないほど目線が低い。終始、「ロケをさせてもらっている」という姿勢は変わらず、ロケ先のスポットや人への配慮を欠かさない様子が画面から伝わってくる。制作サイドが大物扱いすることをよしとせず、過剰に笑いを取りに行くこともない。単独ロケ番組は「誰がロケをするか」が重要であるにもかかわらず自分が前に出ようとはせず、スポットや人を前に出している。
●「うまいことを言おう」「爪跡を残そう」の発想がない
それを象徴しているのは、『夜の巷を徘徊する』も『タモリステーション』もマツコとタモリが現地の人々に声をかけて話を聞くシーンが多かったこと。マツコもタモリも、自分のトークやリアクションはスポットや人を引き立てるためのものであることを分かっていて、「うまいことを言おう」「爪跡を残そう」などの発想がないことを視聴者に感じさせている。
どちらも謙虚な引き立て役に回っていることを確認させられたのは記念撮影のシーン。マツコは訪れた地元名物コンビニ「立山サンダーバード」の店主たちとの記念撮影に応じ、その際「お父さん、マスク取って」と気さくに声をかけていた。また、タモリは外国人から記念撮影を求められて応じたが、「目当てはタモリではなく撮影クルー」であり、それを見て楽しそうに笑っていた。
今春、『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京)の撮影トラブルが大きく報じられたように、ロケ先でのリスクは以前と比べものにならないほど格段に上がっている。多少の配慮不足でもスマホで即投稿されてしまう危うさがあるほか、タレントのちょっとした振る舞いがやり玉にあがるケースも少なくない。その点、多くの人々から「常識人」「気配りのできる人」という印象を持たれているマツコやタモリへの安心感は厚く、トラブルのリスクを下げられる。
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