エイベックスが挑む「大麻布」の商品化、日本のものづくり文化を世界へ
マイナビニュース / 2024年6月13日 6時53分
ミラノサローネへの出展を通じて感じた大麻布の魅力
実際にミラノサローネへ参加してみると、繊維やテキスタイルとしての大麻を理解した上で、その可能性に興味を持ってくれる人は想像以上に多かったという。
中でも反響があったのが、「日本の大麻布に潜むサステナブルな知恵や歴史性」だったとのこと。もちろん素材としての素晴らしさに興味をもってくれる人も相当数いたというが、日本人独特のモノに対する価値観は海外の人々にとって新しい観点になったのだという。
例えば、当時の農民の仕事着は、機織りをしている際に細かく落ちる糸くずを数年ためていき、再び糸にして織り上げることで作られていた。日本人はゴミにしてしまいそうなものを無駄にせず、何年もかけて新たなものを作り、結果意図もしない複雑で美しい表情のものを作り出してきたのだ。
こうした、自分たちの知恵でエコな考え方をしていたら結果的に素材もエコで、デザインもおしゃれになったというような、日本人独特の思想にヨーロッパ人は心をときめかせていたという。
「日本には、お兄ちゃんが着たものを弟が着て最終的に雑巾になってお母さんが使うといった劣化していくサイクルではなく、お兄ちゃんが着てくれたおかげで弟はもっといいものを着れるというようなサイクルを作ることができる知恵やノウハウがあり、大麻にはこうした日本の国民性と合う特性があると思っています」と渡辺氏は言う。
しかもこの国民性は誰かに押し付けられる形で取り組みが行われてきたというよりも、無意識のうちに日常の生活の中で育まれていったとする解釈の方が納得しやすく、そうした先祖の力、過去からの財産を活かし、素材に対する作り方のヒントを出してくれる職人さんや農家さんを守りたいということも含めて活動を続けていることを渡部氏はmajotaeプロジェクトにかける思いとして語ってくれた。
majotaeチームが考える大麻布の未来
ミラノサローネで示した「考古学的なアプローチでのものづくりこそ、イノベーティブなものづくりにつながる」という考え方はヨーロッパでも大いに受け入れられ、ブースには来場者が絶えなかったという。
「今後は日本ではもちろん、世界、特に大麻への理解があるヨーロッパや北米へ本気で展開していきたいという思いがあります。また、テキスタイル以外の多様性という意味では現在、壁紙や産業用資材の製作もしているので、空間全体を作っていくような領域にも大麻という素材を展開していきたいです」と渡部氏は今後の展望を述べてくれた。
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