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どこでもサイエンス 第286回 雨の日の天文学者

マイナビニュース / 2024年6月12日 6時34分

また、日本の望遠鏡は海外にも設置されています。有名なのは、ハワイのハワイ島(ホノルルのあるオアフ島でなく、野球選手の大谷さんが、別荘を買った島ですな)にある、すばる望遠鏡です。ハワイというと虹のイメージがあり、雨が良く降る感じですが、望遠鏡は、4000mを超えるマウナケア山の山頂にあり、さすがにここは雲の上になることが多く、雨が少なくなっています。ちなみにすばる望遠鏡の近所には、各国が10程度の天文台を作っており、いいところはみんな使いたいというわけなんですな。

また、最近、東京大学は、地球の裏側、南米のチリのアンデス山中にあるアタカマ砂漠にTAO望遠鏡を建設中で、建物はほぼ完成しています。このアタカマ砂漠はALMAという超巨大電波望遠鏡がある場所ですが、ギネス記録になるくらい雨が降らない場所です。

しかし、それでも降るときは降ります。たとえば3日間という望遠鏡シェア時間をもらったとして、2日雨が降ったら、やりたいことがやれずに終わるなんてことも十分あるわけですし、1週間あって、1日が雨でももったいない話でございますな。

では、そんな雨の日の天文学者は何をしておるのでしょうか。私も、かつて学生時代に天文学者のお手伝いをしていたことがあるのですが、やはり4日間のシェア時間のうち2日が雨か曇りで観測ができないということがありました。お手伝いしていた先生は「天気予報が悪かろうが、チャンスを待つのがサイエンティストだ!」という方だったので、全く星が見えない空を、1時間に1回くらいチェックしながら晴れ待ちをしていました。おなかがすくので、天文台の控え室にあるコンロで目玉焼きをつくって食べたり、一緒にいった他の学生としょうもないおしゃべりをしたり、そのうち、終わってから解析するためのプログラムのチェックをはじめたりなんてことをしておりました。天文台付の技官の方とカメラ談義をしたり、望遠鏡をいじくる時のクセを教わったりなんてこともしておりました。

が、まあ、それは学生の受け身な立場だったからです。本職のみなさんだけだとどうなるのかなーと思ったら、恒星社厚生閣というところから出ている富田晃彦著「活きている銀河たち」の中に、ちらっと書かれていました。

そもそもが、わずかな記述なのですが、かいつまんで書くとこんな感じです。

天気予報が最悪でも、観測待機(これ、私の先生と同じですね)
観測計画のリスケ(そりゃそうだ)
それまで取得したデータの処理をすすめる(これもまあ同じ)
天文台の図書室や資料、コンピュータなどを使って情報収集や解析作業
他のチームの人や天文台付きの研究者と議論して、アイデアや発展したテーマが生まれる

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