1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

中央大など、土器に縄文時代の種子が意図的に埋め込んであることを確認

マイナビニュース / 2024年6月11日 19時19分

画像提供:マイナビニュース

中央大学、金沢大学(金大)、明治大学(明大)の3者は6月10日、2021年2月に東京都府中市の遺跡から出土した「清水が丘遺跡縄文中期勝坂式土器」を調査・分析し、同土器の装飾は、栽培サイズのダイズ属種子を押し付けて埋め込む手法によって意図的に付けられたことを解明したと共同で発表した。

同成果は、中央大 文学部の小林謙一教授、同・大学 考古学研究室の小林尚子氏、三鷹市役所の中山真治氏、中央大 文学部の西本志保子非常勤講師・人文研客員研究員、金大 古代文明・文化資源学研究センターの佐々木由香 特任准教授(明大 黒曜石研究センター 客員研究員兼任)、石岡市教育委員会の金子悠人氏、パスコの酒井中氏、東京国立博物館 保存科学課 予測保存研究室の宮田将寛専門職、奈良国立博物館 学芸部 保存修理指導室の鳥越俊行室長らの共同研究チームによるもの。詳細は、府中市が刊行する文献資料「新 府中市史 原始・古代通史編」に掲載された。また今回の土器は、府中市郷土の森博物館にて7月20日から一般公開の予定だ。

今回の土器は、遺跡内を通る道路の水道管設置工事に伴う立ち会い調査で出土し、住居覆土中の出土の可能性があるという。土器は胴部上半の全周1/2程が残存し、山形把手を4つ(単位)持ち、口縁部文様帯内には矢羽根状の刻みを持つ隆線があり、その間に沈線で楕円系、三叉文が配されている。山形把手頂部から各文様帯に向けて鎖状懸垂文が垂下するのが特徴的で、勝坂3式末葉の西上タイプに分類される。中期中葉末の新地平9c期と推定されている。

種実圧痕は7か所あり、すべて土器を整形後に貼り付けた隆線上に認められ、上から押さえつけて埋め込んだような形状の跡が観察されたという。この土器の圧痕を、シリコンを用いた「レプリカ法」によって作製し、レプリカを明大 黒曜石研究センター所蔵の実体顕微鏡並びに現生標本を用いて調査が行われた。その結果、レプリカの形態から草本植物のダイズ属種子・子葉の1分類群のみと同定された。走査電子顕微鏡画像で臍(へそ)がある程度明瞭に残る試料はダイズ属とされ、臍が不明瞭または残存していないが、形態からダイズ属と判断された試料は「ダイズ属?」とされた。その結果、ダイズ属種子が2点、ダイズ属?種子が4点、ダイズ属子葉が1点と判明したとする。

ダイズ属には野生種であるツルマメと栽培種であるダイズが含まれる。今回得られた計測可能なダイズ属(?を含む)種子圧痕5点の最大長は12.20mm、最小長8.25mmで、歪な形状の1点(8.25mm)を除いて現生の野生種ツルマメの最大長10mmを超えていたという。土器1個体から複数の栽培サイズのダイズ属種子の圧痕が得られた。そして、種子圧痕は文様を付けた(施文した)際に貼り付けた隆線上のみに認められ、器面に対して上方向から押しつけられて埋め込まれていたように観察できた点が重要としている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください