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『アンメット』はなぜ“リアル”なのか――9話ラストの初挑戦、手術シーン誕生秘話をPが語る

マイナビニュース / 2024年6月17日 11時30分

――若葉さんにオファーする際は、どんな思いを伝えましたか。

後から若葉さんに「そういえば、あの話が刺さったかも」と言われたのは、「僕は10年ほどテレビドラマに携わってきましたが、昨今のエンターテインメントの変化を見据えて考えると、これまで考えてきたテレビドラマのセオリーや、制作過程みたいなものはすべて一旦置いておいて、ただ『アンメット』という作品を素晴らしいものにするという原点に立ち返って、そのために何ができるのか、いろんなことにとらわれずに考えていきたい」という話です。

若葉さんは、民放テレビドラマのスピード感ややり方が自分の体になじむのか、どんな座組で脚本が作られていくのかを気にしていたので、脚本はもちろん、いろんなことを一緒に話し合いながら作っていこうと伝えました。そのうえで僕らスタッフも、「俳優がこう言っているからそうします」というつもりは全くなくて、いい作品にするために、お互いの良い意見を採り入れて、疑問が生まれれば納得がいくまで議論をしたいと話しました。

――若葉さんからは、カメラは何を何台使うのか、フレームレートはどうするのかと、細部まで質問されたとか。プロデューサーとして「叶えられるだろうか」と不安に感じたことは。

最初から、時間も予算も有限だから、無理なものは無理。だからその中でのベストを追求しようと伝えているし、そこを理解してくれない方では全くないので、不安はなかったです。思っていることは全部ぶつけてくれと言った通りに、いい話し合いをずっと続けてこられたと自負しています。

●手術シーン、第9話ラストの長回し…リアル生む工夫
○ミヤビたちが世界のどこかに生きているリアルを

――『アンメット』は準備期間も非常に長く、昨年の9月頃から、1回につき8時間ぐらいかけて、杉咲さんや若葉さん、監督たちとミーティングを重ねてきたとのことですが、そのなかで『アンメット』を作るうえでこれは大事にしようと決めたことはありますか。

杉咲さんはよく、視聴者の方が自分を投影できるような登場人物たちであってほしい、実際に自分たちが生きているこの世界のどこかに、地続きでミヤビたちが生きているような感覚を持ってもらいたいと言っていて。その思いを受けて、どんな脚本、台詞にすればそれを表現できるのかを話し合う場面が多かったかもしれません。ドラマである以上、視聴者の方に情報をちゃんと理解していただかないと話が進んでいかないのですが、“説明台詞”って、役者にとっては今自分は誰に向かって話しているんだろうと違和感を持ってしまうし、医者同士で、医者じゃない誰かに聞かせるための台詞が出てくるだけで、一気にリアリティが失われてしまう。でも説明しなきゃ成り立たないし、どうバランスを取ろうかとたくさん議論しました。そこも含めて、『アンメット』は登場人物も多く、一本の線にまとめて構成していくのが本当に難しく、複雑な作品。ここまで世界観をしっかりと構築して、緻密な構成の脚本にしてくれたのは、完全に脚本家の篠崎絵里子さん(崎はたつさき)の力です。

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