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東工大、好熱菌由来生体触媒を用いてCO2を有機分子に固定する技術を開発

マイナビニュース / 2024年6月17日 18時45分

画像提供:マイナビニュース

東京工業大学(東工大)は6月14日、好熱菌「Thermoplasma acidophilum」(Ta)由来の生体触媒の1つである「リンゴ酸酵素」(ME)である「TaME」を用いて、(気体の)二酸化炭素(CO2)を有機分子に固定する新反応を開発したと発表した。

同成果は、東工大 生命理工学院 生命理工学系の松田知子准教授、同・奥悠莉大学院生の研究チームによるもの。詳細は、[米国化学会が刊行する化学に関する全般を扱う学際的な学術誌「JACS Au」に掲載された。(https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacsau.4c00290)]

近年、脱炭素に貢献する技術の1つとして注目される「CCU」(CO2の回収・有効利用)は、発電所や工場から排出されたCO2を分離・貯留し、さらに炭素源として有効利用する取り組みだ。CO2の活用方法として、CO2を有機分子にカルボキシ基として固定する反応の開発が望まれている。しかし、CO2の化学的特性により、従来の化学的なカルボキシル化反応の多くは激しい条件を必要とし、エネルギー効率や安全性に関する課題を抱えていた。

それに対し、生体触媒(生体内の反応を触媒するタンパク質)を用いれば、穏やかな条件下でCO2固定化反応が進行すると考えられていた。生体触媒の1つであるMEは、ピルビン酸とCO2の反応を触媒してリンゴ酸を生成する酵素だ。そこで研究チームは今回、通常のMEではなく、好熱菌由来の生体触媒であるTaMEに着目したという。

これまでの研究では、MEを用いたCO2固定化反応において、天然の基質であるピルビン酸以外の基質を用いる反応は報告されていなかったとのこと。今回開発されたTaMEを触媒に用いたCO2固定化反応では、まずTaMEの天然の基質であるピルビン酸をモデル基質として、気体のCO2をCO2源とするカルボキシル化反応の至適条件が検討された。その結果、最初に、CO2を水に溶かした溶媒に、ピルビン酸、TaME、補酵素(酵素反応に必要な有機化合物で、ここではNADPHという化合物)のみを加えても反応はほとんど進行しなかった。

しかし、補酵素を再生する補助的な反応であるThermoplasma acidophilum由来のグルコース脱水素酵素(TaGDH)とグルコースによる補酵素再生反応を利用すると、37℃・0.1MPa(常圧)下という穏やかな条件で、72%の収率でピルビン酸とCO2からリンゴ酸を合成できることが確認されたとした。

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