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阪大の量子コンピュータ、古典計算とのハイブリッドアルゴリズムを搭載

マイナビニュース / 2024年6月18日 19時27分

画像提供:マイナビニュース

大阪大学(阪大)とセックは6月17日、量子計算と古典計算を掛け合わせた協調処理を行う「量子古典ハイブリッドアルゴリズム」(以下、「QCHA」と略)を実行する機能を開発し、阪大の量子コンピュータ・クラウドサービスにて提供を開始したことを共同で発表した。

同成果は、阪大大学院 基礎工学研究科の御手洗光祐准教授(阪大 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)兼任)、QIQBの森俊夫特任研究員(常勤)、同・束野仁政特任研究員(常勤)、同・桝本尚之特任研究員(常勤)、同・宮永崇史特任研究員(常勤)、セックの内田諒主任らの共同研究チームによるもの。

現在の量子コンピュータはノイズ耐性の機能が備わっておらず(ノイズの影響が大きい)、限定的な規模の計算しかできない。そこで古典(既存)コンピュータの力を借りることで、本来は現在の量子コンピュータでは扱えないような大きな計算も実行できるようにしたのがQCHAだ。本来の大きな計算を分割し、ノイズの影響が少ない小さな計算にし、その1つを量子コンピュータで実施。その結果を古典コンピュータが処理し、さらに次の量子コンピュータで計算する分割した小さな計算の1つを決める、というのを繰り返し、最後は計算結果を足し合わす。計算内容にもよるが、QCHAでは量子コンピュータと古典コンピュータの計算を数百回~数万回繰り返すことがあるという。

なお、ユーザが量子コンピュータで計算を行う際は、ジョブという単位で実行する。量子コンピュータは複数のユーザが共用しているため、他のユーザもジョブを実行しようとしている場合は順番を待つ必要がある。これは、1つの窓口に対して複数のユーザが列を作って並んでいる状況で、混雑状況にもよるが、ジョブが実行されるまで十秒~数時間程度待たされる。

これまで、QCHAでは、古典コンピュータによる計算をユーザのコンピュータで実行しており、量子コンピュータで繰り返し計算を行う際にジョブを何度も実行する必要があった。そのため、QCHAをクラウド経由で実行する場合には膨大な待ち時間がかかることがあり、利用する上での大きなボトルネックになっていたのである。そこで研究チームは今回、その問題の解決を試みることにしたという。

今回の研究では、QCHAの協調処理を高速化する機能が開発された。具体的には、同アルゴリズムのジョブを実行する際に量子コンピュータを専有し、何回も順番待ちすることなく計算する。また、古典コンピュータによる計算はユーザのコンピュータではなく、サーバ側のコンピュータで実行する。この機能は「SSE」(Server Side Execution)と命名された。SSEの動作の流れは、以下の通りだ。

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