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推し活3.0 第7回 「応援したのに裏切られた...」とファンが幻滅する、Web3施策の構造的問題

マイナビニュース / 2024年6月24日 9時0分

Web3時代の企業の新しい資金調達手法として注目を集めるIEO(Initial Exchange Offering)も、同じようにファンとの信頼を損ねるリスクをはらんだ施策の1つと言えます。

IEOは簡単に言ってしまうと特別イベント参加券や企画への投票権などといった「将来の特典」が論拠となって価値がついた「トークン」を販売することによる資金調達手法で、株式の世界で「将来の配当/分配金」を論拠に「株式の価値」がつくのと同じ構造です。

当然、価値の源泉である「特典の中長期配布計画」は株式でいうところの中期事業計画と同程度に重要な存在ですが、今の時点では曖昧なままスタートすることが常識となってしまっています。そしてその結果、提供された特典がファンの期待値を超えない、あるいは、実質的な休眠状態に陥るケースが少なくありません。

この時、短期的に企業側はまとまった現金を得られることから見た目上は損がない(むしろ現金収入を得ている)ように見えますが、実際にはそのツケはブランド毀損として支払われていることを自覚する必要があります。

そして「顧客との関係を深める」という本来の施策の目的からすると真逆な結果を招いているという点から目を逸らすべきではありません。「投資は自己責任」とはいえ、「損をさせられた」と感じた企業を応援し続けられる人はそう多くはないでしょう。
ファンを幻滅させる最大の原因は「販売主とファンの期待値のズレ」にある

なぜ、これほどまで多くの、しかもファンを大切にしてきた企業たちがその信頼を裏切るようなことを当たり前のようにやってしまうのか。私はその原因が担当者の能力や責任感といった属人的なものではなく、Web3施策の構造にあるのだろうと理解しています。

前述のようなWeb3施策では、販売側の目線でいうと金銭は短期的に獲得し終えており、当然、それ以降のサービス提供は最小限に抑えたいという思考となります。特に現在、提供されているようなオリジナルグッズのプレゼントや特別なイベント参加機会などは運営するだけでもそれなりの原価もかかるので、そう気軽に提供できるものではありません。

一方でファン側からすると購入時の価格の論拠となっている発表内容に沿う、あるいは、それを超えるようなサービスを半永久的に提供し続けてくれることを期待することとなります。

特にこの「半永久的」という点が難儀で、販売側からすると受け取れる金銭に上限がある以上、半永久的なサービス提供は現実的ではない一方で、Web3施策で喧伝されるような二次流通での価格維持・向上を期待するファンからするとそれは当然に求めるものとなり、この期待値のズレがファンの幻滅を生み出す最も大きな要因の1つとなっていると想定されます。
ファンを幻滅させる最大の原因は「販売主とファンの期待値のズレ」にある

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