プロ将棋の残酷さとそこから生まれたドラマ、中座八段の「伝説の写真」~事実は小説より奇なり
マイナビニュース / 2024年6月21日 18時10分
6月19日に行われた第37期竜王戦4組残留決定戦を最後に、中座 真八段の引退が決まりました。最後の対局相手は、野月浩貴八段でした。
「中座飛車」とも呼ばれる横歩取り8五飛戦法の創始者として知られる中座八段には、もう1つ印象的なエピソードがあります。それは、今から28年前、中座八段がプロ入りを決めた三段リーグでの出来事です。小説『聖の青春』の著者、大崎善生氏をして
「ダイレクトに胸を衝く、衝撃的な写真」~『将棋の子』(講談社文庫)プロローグより
と記された、当時26歳の中座青年が顔を伏せてうずくまるこの写真は、プロ棋士になることの困難さ、残酷さを象徴する「伝説の一枚」として将棋ファンの心に刻まれています。
『将棋世界』では、当日の中座八段の心境を自ら語った『四段昇段の一局 自戦記 中座 真四段 「目に見えないもの」』(将棋世界2001年2月号再録)を有料販売いたしますが、本稿では、当時この出来事を報じた『週刊将棋1996年3月13日号』の記事を復刻再掲載いたします。この日、彼に何が起こったのかをお伝えできればと思います。
舞台は1996年3月7日、第18回三段リーグ最終日。三段リーグには、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となるルールがあります。奨励会入会から15年が経った中座三段(当時)は、この時26歳でした。
以下、『週刊将棋1996年3月13日号』より抜粋
○事実は小説よりも奇なり
この日、起きたようなドラマは、どんな巧みな小説家でも描けないだろう。フィクションという前提があっては、あまりにもうそっぽすぎる。 「事実は小説よりも奇なり」だった。
この日を迎えて昇段の目があったのは次の6人。
1.①堀口 12-4
2.⑭野月 12-4
3.㉓藤内 12-4
4.⑥中座 11-5
5.⑪今泉 11-5
6.③木村 10-6
昇段戦線は波乱に次ぐ波乱だった。
(中略)
九時半過ぎから1局目。まず決着のついたのは中座のところ。星取り表の記入は幹事席で勝者がする。中座はこわばった顔で判を押すとすぐに消えた。次いで今泉―木村戦。木村勝ち。今泉の目が消えた。やがて負けた野月が来て立ったまま星取り表を眺めていた。口が半開きだった。藤内―石堀は石堀勝ちの情報がもたらされた。堀口の来たのは2局目開始の2時近くだった。堀口は勝っていた。昇段決定。満面の笑み。中腰のまま判を押していた。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
【王位戦】実は初挑戦の王位戦 渡辺明九段、藤井王位と第2局 タイトル戦は昨年名人戦以来
日刊スポーツ / 2024年7月17日 9時37分
-
【将棋】西山朋佳女流3冠、史上初の女性棋士誕生なるか「しっかり準備」プロ棋士編入試験を受験
日刊スポーツ / 2024年7月5日 5時0分
-
【将棋】6月引退の中座真八段「いただいた言葉を励みに」妻の中倉彰子女流二段がXで代行発表
日刊スポーツ / 2024年7月3日 16時13分
-
振り飛車党の大型新人あらわる!? 稲葉八段が伊藤叡王下し初戦突破 第45回将棋日本シリーズ JTプロ公式戦
マイナビニュース / 2024年7月1日 11時30分
-
将棋日本シリーズJTプロ公式戦 稲葉 陽八段、伊藤 匠叡王を下し開幕戦勝利 6月29日(土)一回戦第一局 開催結果
PR TIMES / 2024年6月30日 13時45分
ランキング
-
1ドラマ「西園寺さん」ヒットの予感しかない3理由 「逃げ恥」「家政夫ナギサさん」に続く良作となるか
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時0分
-
2月々のスマホ代を「高いと感じる」…「2000円もすることに驚いた」「安いプランなのに高い」格安プランに乗り換える?
まいどなニュース / 2024年7月16日 19時45分
-
3「これは奇跡...」破格の1人前"550円"寿司ランチ。もうこれ毎日通いたい美味しさ...。《編集部レポ》
東京バーゲンマニア / 2024年7月16日 7時2分
-
4丁寧な言葉遣いで一見おとなしい人ほど陰湿攻撃がエグい…「目に見えない攻撃」を繰り出す人「6パターン」
プレジデントオンライン / 2024年7月16日 15時15分
-
5なぜ?「N-BOX」新型登場でも10%以上の販売減 好敵「スペーシア」と異なる商品力の改め方
東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)