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岡山大、銅酸化物高温超伝導体の結晶をひずませると電荷が現れることを発見

マイナビニュース / 2024年6月20日 18時55分

画像提供:マイナビニュース

岡山大学は6月19日、「ビスマス系銅酸化物高温超伝導体」の結晶(銅と酸素が結合した正方形)をひずませると、超伝導に代わって電荷秩序(電荷の並びに規則性がある状態)が現れることを発見したと発表した。

同成果は、岡山大 学術研究院 環境生命自然科学学域(理)の川崎慎司准教授(低温物性物理学)、同・鄭国慶教授(同)、岡山大大学院 自然科学研究科の佃菜桜大学院生(研究当時)、独・マックスプランク研究所のChengtian Lin博士らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

化石燃料に頼らない社会を実現するためには、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの割合を大きく増やすことが必要なのに加え、あらゆる場面での省エネルギー化が不可欠であり、電力消費を抑えるのに有効なのが、電気抵抗ゼロになる(=電力ロスがゼロになる)超伝導なのはいうまでもない。仮に、発電所から家庭や工場などまでの送電・配電網の多くを超伝導体で構築することができたら、送電ロスは莫大なものになる。

このように、脱炭素社会の実現と生活の利便性の向上に、超伝導は必要なものだが、その普及には大きな課題があるのもよく知られている。常圧環境下では、超伝導は極低温にならないと現れないからだ。超電導ケーブルを用いて送電網を構築して送電ロスを減らせたとしても、それ以上に極低温に冷却するのにエネルギーを消費してしまっては意味がない。そのためにも、冷却コストのかからない「室温超伝導物質」が強く求められている。

現在、銅酸化物超伝導体が室温超伝導の有力候補とされるが、実際には最高超伝導転移温度(Tc)は-140℃とまだ室温には遠く、しかもその超伝導の発現の仕組みは不明な上、室温超伝導への指針もないため、道のりは容易ではない。仕組みがわかっていない理由の1つに、超伝導の背景が不明なことが挙げられるという。その背景は、特に「異常金属相(擬ギャップ)」と呼ばれている。

銅酸化物は、結晶内で銅と酸素が結合して作られる正方形の「CuO2面」で超伝導が起きる。ところが、これまでその正方形の構造そのものと超伝導の関係が調べられた実験はほとんどなかったという。そこで研究チームは今回、自作のピエゾ素子駆動の一軸性圧力発生装置(一軸ひずみセル)を用いて、超伝導とCuO2面の関係を核磁気共鳴法により調べることにしたとする。

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