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QualcommのCOMPUTEX基調講演から透けて見えた「Copilot+ AI PC」の内部事情

マイナビニュース / 2024年6月20日 19時18分

またアプリケーションについても、ブラウザの動作はx64系と比較して20~57%高速化されており(Photo13)、サードパーティのものでも例えばDaVinci Resolveでは平均3倍高速になる(Photo14)などの数字が示された。最後にQualcommが2月に発表したQualcomm AI Hubは既に100以上の最適化が済んだモデルを提供しており、また同じ処理でも従来比2倍の推論性能を可能にするようなソフトウェアも用意されるとし、更に今後アプリケーションのNative対応が進む(ゲームは既に1000以上が存在する、とした)ことで、ますますx64に拘らないPC ExperienceがSnapdragon X Elite上で利用できる、と利用できるとして基調講演を終わった。

ちなみに写真は省いたが、Microsoft/Lenovo/Acer/ASUS/Dell/HPといったSamsungを除くPhoto04に出て来たメーカーのExectiveによる短いプレゼンテーションも行われたし、上に書いたようにSamsungに加えMicrosoftのSatya Nadella CEOによるビデオメッセージもあって、割と盛り沢山だった基調講演であるが、ただ一つ無かったのがArmによるメッセージである。別にRene Haas CEOが居なかった訳ではない(というか、Armの基調講演の後にQualcommの基調講演が行われており、場所は異なるが歩ける距離だったし、筆者は歩いた)し、MediaTekの基調講演にはわざわざ参加している訳で、これは極めて意図的なメッセージである。そもそもArmの基調講演のレポートでも書いたが、後の質疑応答の中で「WindowsデバイスにおけるArmプロセッサのシェアが5割を超えると考えている」という回答がありつつも、そのなかにQualcommを入れていない(そもそも基調講演の中でも、一度もCopilot+とかQualcommの言葉を使わなかった)というあたりに両者の冷え切った現状が判る。

理由は簡単で、両社は現在訴訟関係にあるからだ。冒頭に示したSnapdragon X Eliteの発表記事の中にもあるが、Snapdragon X EliteやPlusに搭載されている第1世代Oryonというコアは、Qualcommが2021年に買収したNuviaという会社の技術を利用して開発された。これに対し、Armはまず2022年にこれがライセンス違反になるとしてQualcomm及びNuviaを提訴。これに対しQualcommは今年4月18日、Armを反訴している。これがお互いに基調講演で一切触れない理由である。

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