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QualcommのCOMPUTEX基調講演から透けて見えた「Copilot+ AI PC」の内部事情

マイナビニュース / 2024年6月20日 19時18分

Arm基調講演の記事の中では敢えてこの辺には触れなかったが、技術的な観点で見てもArmが今すぐWindowsエコシステムに参加するのはソフトウェアサポートの観点で非常に敷居が高い。変な話だが、もしまだArmがSoftbankの100%子会社のままであり、利益をそのまま研究開発に突っ込むことが可能なら、Windows向けのドライバとかKernelとかミドルウェアなど必要なものを、資金にモノを言わせて揃えることは不可能ではなかっただろう(同じことをサーバーと自動車向けにやってるからだ)。ただ独立した現在のArmにそれは無理であり、だからもし本当に50%のシェアを取りたかったら、Qualcommの助けを借りざるを得ない。ただそもそもお互いに訴えあっている現状でそんな事は不可能だし、第一Qualcommは折角先行者利益を獲得しつつあるWindows PC向けArmチップのポジションを簡単に譲り渡すメリットが無い。あるいは今回の訴訟、Qualcommの協力を得るためのArmの戦略(訴訟を取り下げるor条件を軽くするバーターとして協力してもらう)という可能性も0ではないとは思う(いや限りなく0に近いかもしれないが)が、相手が訴訟慣れしているQualcommだけに一筋縄では行かないだろう。なによりMicrosoftとの協力関係をがっちり構築しているのはArmではなくQualcomm、というあたりがArmにとって最大のウィークポイントである。

実のところ今回壇上に立った7社のパートナーに対して、Armが製品出荷の差し止め訴訟を今後行わないという保証はない。ただしそれをやると、間違いなく業界がArmの敵に回りかねない。かといってArmとしても、新しいライセンスモデルを何とか普及させたい(これを実現出来ないと、今後の経営に響いてくる)ため、簡単に訴訟をやめるわけにもいかない。こぶしを振り上げたは良いが、どう引っ込めるかの落しどころが見えなくなっているのが現状である。多分当面はこのピリピリした状況が続くと思われる。
(大原雄介)



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