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1950年からヘビーピートにこだわり続ける若鶴酒造、ウイスキー最新作「三郎丸IV」はハイランドピートでクリア&スモーキー

マイナビニュース / 2024年6月23日 17時9分

○ウイスキーを蒸留する装置、鋳造製ポットスチル「ZEMON」とは

三郎丸蒸留所といえば、世界初となる鋳造製ポットスチル「ZEMON」が特徴だ。通常のポットスチルは銅板を叩いて伸ばし、溶接して作るのだが、銅板が薄いために20~30年使うと穴が開いてしまうことがある。鍛造のZEMONは厚みを2.5倍ほどにでき、寿命を格段に伸ばせる。材料に銅とスズを使っているので、酒質がまろやかになる効果も。加えて短納期とコストダウンも実現しているなど、いいこと尽くめだ。

熱伝導率が小さいこともメリットだと話す。従来のポットスチルは銅で作られており、熱伝導率が高かった。これは、火でポットスチルを熱して蒸留しているからだ。現在は、ポットスチル内のチューブに蒸気を流して間接加熱するタイプが多く、この場合は外部からの熱伝導率は関係ない。それどころか、熱伝導率が小さければ、熱を効率的に利用できるメリットも出てくる。

三郎丸蒸留所は「ZEMON」を導入したことによって、従来の蒸留機よりもエネルギー換算で蒸留効率が88%もアップしたそうだ。CO2排出量が約半分になるという効果が得られたのだ。

「1950年から、できるだけピートの強いウイスキーを作るところだけは伝統的に守ってきました。私もそういったウイスキーが好きなので、『ピートを極める』ことをコンセプトにしてます。私がここに戻ってきた当時の売上は4億円ぐらいだったのですが、ウイスキー事業がそこから15倍成長しまして、今では日本酒の売上を逆転しました」(稲垣氏)

現在の三郎丸蒸留所にはレストランも併設されており、味や香り、蒸留所から出る音や熱など、五感で楽しめるようになっている。JRの最寄駅(JR城端線 油田駅)から徒歩1分という立地もよく、見学者も気軽に訪れることができる。海外からは特に台湾の方々が多いとのこと。

「ピート」とは泥炭のことで、ウイスキーの原材料となる麦芽を乾燥させるときに利用する。そのときに燻した香りが麦芽に付くことによって、ウイスキーにあのスモーキーな香りが生まれるのだ。「樽の内側を焼いているからスモーキーなウイスキーになると言われることもありますが、それは間違いです」と稲垣氏。

ピートは植物が炭化したものだが、元の植物によって燃やしたときの香りは異なる。例えば、アイラ島(スコットランド)のピートは湿度のある海風のようなしっとりとした印象で、内陸であるハイランドのピートはカラッとした分かりやすいスモーキーさとフルーティーさが特徴だ。

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