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永瀬廉の“憂いを帯びた声”の魅力 『よめぼく』三木孝浩監督「お芝居になるとふとした瞬間に憂いの部分が…」

マイナビニュース / 2024年6月24日 10時0分

一方、春奈としての出口の思いがけない芝居に驚かされたことも。秋人が春奈と綾香の間を取りもち、初めて綾香を病室に連れてくるというシークエンスで、綾香の顔を見るなり春奈は「ごめんね」と謝る。

「僕は久々の再会だしもう少したどたどしい感じで謝るのかなと思っていたら、むしろ先に(春奈が)泣いているくらいの勢いだった。その瞬間に春奈が綾香に会えなかった時間の重さを、出口さんがちゃんと表現してくれたなと思って”やられたな!”と思いました。出口さんはそれをロジカルに演じられたというよりは、春奈としての感覚で自然に出たという感じ。これを無意識にできるのはすごいなと」

初めて病院の外に出た2人が訪れるのが高校の文化祭、そして美しい海。三木作品に文化祭が登場することは非常に多いが、毎回そのクオリティの高さが絶妙だ。

「美術部さんには“もう文化祭は無理。これ以上アイディアがないです!”と言われながらも(笑)、毎回手を変え品を変え素敵な文化祭を作り出してもらっています。実際あの作り込まれた文化祭を見ると、役者さんたちのテンションも変わりますからね。今回は綾香主演の劇(『白雪姫』)もあったので、本当に大変だったと思いますが……」

永瀬と出口は実際はかなり長尺で上演された『白雪姫』をリアルタイムで鑑賞し、綾香役の横田をはじめ役者陣はダンス練習もきっちりやって劇中劇に臨んだという徹底ぶり。

「どうしても短めでやると嘘っぽくなってしまうので。だからこそ客席の2人の表情が引き出せたと思います」

文化祭の後に2人が向かった海は、神戸から足を伸ばし淡路島で撮影。「2人の真正面に夕日がくる海がほしくて、淡路島に決めました」と三木監督は説明する。

夕日のタイミングは当然ながら時間との勝負となった。

「時間がない中、現場で全員がグッと集中するあの独特の雰囲気は、映画の醍醐味だなと思います。皆のギアが一気に上がるし、そこで映画のミラクルみたいな瞬間が撮れる。あのシーンはまさにそうでしたね」

●作品とリンクしたフジファブリックの『若者のすべて』

最後の瞬間まで作品に寄り添う主題歌『若者のすべて』は、“フジファブリック”の代表楽曲でもある名曲。

「もともと大好きな楽曲でした。この作品の残す者、残される者という部分にもリンクするし、リアルストーリーで言うと、フジファブリックの志村正彦さんが29歳という若さで亡くなりましたが、彼の音楽はこれからもずっと残っていく。この曲にある切なさは確かにあるけど、彼の想いは時を経てこの先を生きていく人たちの糧になっていくと感じました。今回の映画で言うと、残された人間=綾香が2人のエモーションを引き継いでいくような感覚で、ピタっとはまった気がしたんです」

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