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ゲルから水溶液になりまたゲルに戻るハイドロゲル物質を岐阜大が“偶然”発見

マイナビニュース / 2024年6月24日 13時16分

画像提供:マイナビニュース

岐阜大学は6月21日、酸化反応によって溶けて水溶液状態になった後、自発的にもう一度ゲル(ゼリー)状態に戻るという珍しい現象を見せる、「アミノ酸誘導体型分子」(以下「Fmoc-CBzl」)からなるハイドロゲル(水系のゲル状物質)を作り出したことを発表した。

同成果は、岐阜大 工学部 化学・生命工学科の池田将教授、岐阜大大学院 連合創薬医療情報研究科の新谷勇喜大学院生、山形大学大学院 有機材料システム研究科の片桐洋史教授の共同研究チームによるもの。詳細は、ナノテクノロジーを含む材料科学に関する学際的な分野を扱う学術誌「Advanced Functional Materials」に掲載された。

ゼリーに代表されるゲル状物質とは、溶媒が固まっている状態に相当する弾性を示し、液体と固体の中間的な性質を持つ。液体である水をそのようなゲル状態にするためには、溶質であるゲル化剤と呼ばれる物質が水の中にネットワーク化した構造体を作る必要があるとされている。水系のゲル状物質はハイドロゲルと呼ばれ、生体適合性材料として医療面での応用が期待されている。

そうした中、水中で自己集合する分子をデザイン・合成し、それらの分子を水中で自己集合させることによって得られるナノファイバーネットワークからなるハイドロゲルの研究開発を進めているのが研究チームだ。今回の研究では、天然アミノ酸の1つであるシステインを原料とするハイドロゲルの開発を目指したという。

そして研究の結果、水中で自己集合し、ナノファイバーネットワークを形成してハイドロゲルとなるFmoc-CBzlが見出されたとする。得られたハイドロゲルの性質を調べた結果、過酸化水素(H2O2)の添加に伴う酸化反応によって溶けて水溶液状態になることが明らかにされた。以上の実験結果は予想された範囲内だったというものの、研究チームはさらに観察を続けたとのこと。すると、水溶液が再びハイドロゲル状態に戻るという予想外の不思議な現象が偶然発見されたとした。

そこで、この現象をさまざまな分析手法で詳しく調べたところ、Fmoc-CBzlの「スルフィド部位」が、酸化反応によって「スルホキシド部位」に変換されていること、および生成されたスルホキシド部位のキラリティに由来する2種類の異性体「Fmoc-CBzl-(R)-O」(以下(1))と「Fmoc-CBzl-(S)-O」(以下(2))の間で自己集合能が異なることが突き止められた。

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