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東工大、CNTバンドル構造体のねじり変形で回位が生成されることを発見

マイナビニュース / 2024年6月24日 14時38分

画像提供:マイナビニュース

東京工業大学(東工大)は6月21日、ねじり変形を加えた「カーボンナノチューブバンドル(CNTB)構造体」に回位が生成され、同構造体内において回転型の欠陥である「回位線」が長いほど、「ヤング率」(縦弾性係数)が低くなることを解明したと発表した。

同成果は、東工大 物質理工学院 材料系のライ・ショウブン准教授、同 ルー・トン大学院生、同・藤居俊之教授らの研究チームによるもの。詳細は、低次元ナノ材料を含めた炭素材料に関する全般を扱う学術誌「Carbon」に掲載された。

回位は回転型の格子変位を持つ線状の格子欠陥であり、材料関連業界において、材料の強化や新奇な機能創出を行う場合、その制御は避けて通れない重要な要素だ。CNTBにおける回位は、CNTを1本抜き差しする操作に相当する回位導入により、CNTBの横断面を一様な六員環結晶構造から五員環結晶構造または七員環結晶構造に変えることが可能。こうした材料の諸特性を制御するには、回位の生成・成長機構に加えて、回位が材料力学特性に及ぼす影響の解明が不可欠となるという。

複数の柱状素線を束ねたバンドル構造は、さまざまなスケールで応用される普遍的な構造様式だ。ねじり変形させた同構造体の幾何構造は、力学特性の改善に密接に関係する。さらに、同構造体をねじり変形させ、格子欠陥生成による内部構造変化を積極的に利用することで、材料特性の向上をもたらす可能性があるする。そうした中、ねじり変形させたCNTBでは延伸性能が低いことが解決すべき問題とされていたことから、研究チームは今回、分子動力学シミュレーションでCNTBをねじり変形させ、どうなるのかを調べたとする。

その結果、CNTBのねじり変形により回位が生成することが発見され、さらに回位線も初めて観測されたとのこと。なお今回のシミュレーションでは、1本のCNTを中心に、その周りにCNTを同心円状に積層分布させ、層数の異なるさまざまなCNTBモデルが構築された。初期緩和計算過程で、CNTBの横断面は初期の円形配置から六角形配置に変化。その上で、CNTBの両端に対し、互いに逆向きに等しい角速度0.0218rad/ps(1.25°/ps)でねじり変形が行われた。

なおその際には1フェムト秒をタイムステップとし、1000ステップ(1ピコ秒(ps))ごとにCNTBをねじり変形させ、10psの緩和時間を設けて、破壊に至るまでねじり変形と緩和が繰り返された。この緩和計算過程では、ねじり変形によってz軸に沿って発生する応力を緩和するため、端部がz軸に沿って自由に動ける条件が与えられた。

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