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東大など、地球の地下約2900kmの化学的不均質は水が原因ではないことを解明

マイナビニュース / 2024年6月25日 19時14分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)と北海道大学(北大)は6月24日、地球の深度約2900km付近の金属コア(外核)と岩石のマントルとの境界付近の「コア-マントル境界(CMB)領域」に相当する超高圧高温条件下で合成された二酸化ケイ素(SiO2)相中の含水量を測定した結果、CMB領域まで水を輸送するSiO2相は、超高圧高温条件下でも脱水せず、水を保持したままマントル浅部へリサイクルすることを明らかにしたと共同で発表した。

また、CMB領域の地震波観測が示す大きな化学的不均質は、水によって作られたものではないことが判明し、代わりに地球誕生時のマグマオーシャンに起因する可能性が高いと示唆されたことも併せて発表された。

同成果は、東大大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻の堤裕太郎大学院生、同・廣瀬敬教授、北大の坂本直哉准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の地球・惑星科学に関する全般を扱う学術誌「Nature Geoscience」に掲載された。

主に玄武岩質の海洋地殻とその下のマントルの岩石で構成される海洋プレートは海嶺で生まれ、海底を地質学的な長い時間をかけてベルトコンベアのように移動し、そして海溝で沈み込んで地球内部へと再び戻っていく。この沈み込む時の海洋プレートはスラブと呼ばれ、そこには水が含まれており、水はスラブの沈み込みと共にマントル深部まで運ばれることがわかってきている。地球内部まで沈み込むとスラブは脱水を起こし、日本に代表される沈み込み帯の火山活動、さらには一部の地震活動の原因となっているという。

マントルの底部は、そのすぐ下に位置するコア(の外核)によって加熱され、その温度は絶対温度4000K(約3727℃)近くに達していると推定されている。これまで、そのような高温下で、SiO2相も脱水して水を失うと考えられてきた。また脱水した水が、マントル最下部の融解を引き起こして大きな化学的不均質を作り、さらにはコアの金属鉄と反応し超酸化的な物質を作ると考えられてきた。このような超酸化的な物質がマントル浅部へ運ばれることにより、地球表層が酸化的になったという議論もあったという。そこで研究チームは今回、実際にマントル底部に相当する超高圧高温下での実験を行い、SiO2相の含水量を調べることにより、スラブからの脱水を検証することにしたとする。

今回の研究では、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置を用いて、スラブの主要構成物質である含水中央海嶺玄武岩が高温高圧にされた。同装置は、先端が尖った2つのダイヤモンドの間に試料を挟み、加圧した後、レーザーを照射して試料を高圧高温状態にするというもので、地球中心の極限環境(364万気圧、5400K(約5127℃))すら超える高圧高温を発生させることが可能。

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