極地研など、北海道で目視された異常に明るい赤いオーロラの謎を解明
マイナビニュース / 2024年6月25日 19時43分
国立極地研究所(極地研)、名古屋大学(名大)、東京大学(東大)の3者は6月24日、2023年12月1日に発生した「磁気嵐」(太陽からの大量のプラズマが地球を直撃し、地磁気が世界規模で数日間弱くなる現象)の規模が、これまでと比べてそれほど大きくなかったにも関わらず、北海道から肉眼でも見られるほど異常に明るい赤いオーロラが発生したことが謎だったとし、この異常な現象は、太陽風の密度が極めて濃かったために、地球の磁気圏が非常に小さくなっていたこと、磁気嵐中に起こった特異なオーロラ爆発の直接的な影響を日本から観察できる絶好のタイミングであったことが考えられると共同で発表した。
また、多くの市民科学者たちによって得られた画像データをもとに分析した結果、今回のオーロラの発光高度は、通常の数倍の高度400~600kmという非常に高い位置であったことも明らかになったことも併せて発表された。
同成果は、極地研 宙空圏研究グループの片岡龍峰准教授、名大 宇宙地球環境研究所の三好由純教授、同・塩川和夫教授、同・西谷望准教授、東大大学院 理学研究科の桂華邦裕助教、同・天野孝伸准教授、同・関華奈子教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、地球科学全般を扱う学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載された。
オーロラは通常、極域でのみ見ることができ、中緯度地域の日本からは観測できないが、非常に大きな磁気嵐が発生した時は別で、北海道や東北地方などでも赤いオーロラが目撃されてきた。しかし、今回の磁気嵐は決して大きなものではなかったが、北海道の北部や東部の広い地域から、肉眼でも見られるほどに明るく赤いオーロラが目撃された。そこで研究チームは今回、通常規模の磁気嵐で、異常に明るいオーロラが北海道から観測できた理由を検証することにしたという。
今回の研究における第1の特徴は、SNSを介して収集された多地点からの市民科学者による画像により、発光高度400~600km、磁気緯度50~53度と、赤いオーロラの発生位置が特定されたこととする。通常の赤いオーロラの発光高度は約200kmであり、非常に高い位置だったことが、北海道の広域で観測できた理由の1つであることが判明した。また高精細な画像からは、磁力線に沿った筋状の背の高い構造も確認されたという。このような、発生位置の特定や構造の特徴は、さらに詳しい分析のための重要な手がかりになったとする。
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