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ディスプレイ国際会議「SID/Display Week 2024」 第2回 ARグラスにおける究極のエンジンを目指す有機半導体レーザー

マイナビニュース / 2024年6月26日 12時38分

画像提供:マイナビニュース

未来の映像デバイスを目指すARグラスの実用化に向けて様々なディスプレーエンジンの開発が進められている。市場ではマイクロOLEDの搭載が進みつつあり、マイクロLEDも世界中の多くの企業によって精力的に開発が行われている。さらには、強い指向性を持つレーザーが、究極的なデバイスとして期待されている。5月に米国San Joseで開催されたディスプレー国際会議「SID(The Society for Information Display)/DW(Display Week) 2024」の内容に加え、今年2024年の前半に世界各地で開催されたARVR関連やディスプレーに関わるイベントから、ARグラスが目指す方向をレポートする。

参考:ディスプレイ国際会議「SID/Display Week 2024」 第1回 次世代ディスプレイ技術の主役となる方向性が見えてきた「量子ドット」

未来のモバイルツールとなるARグラスの課題

将来、スマートフォン(スマホ)に代わってARグラスが情報機器の主役になるとの期待がもたれている。ARグラスが普及するためにはいくつかのポイントがある。まずは、眼鏡のように軽いことが重要な点になる。このため現在多くのARグラスで採用されているバードバス光学系から、より薄型化が可能なウエーブガイド光学系の実用化を目指した開発が行われている。この場合の最大の課題は、映し出される仮想映像の明るさであり、光源となるディスプレーエンジンの光が人間の目に届くまでの間に伝搬される光の利用効率である。バードバス光学系では、光の利用効率が10%程度あるのに対して、現状のウエーブガイド光学系では1%程度と非常に低い値しか得られていない。
マイクロディスプレーの高輝度化

ARグラスで明るい仮想映像を映し出すために、ウエーブガイド方式では光学系の光利用効率を大幅に改善する必要がある。しかし、現状では画期的な手法がないため、光学エンジン側の輝度アップに頼らざるを得ない。ここ半年間の世界各地の関連イベントでは、マイクロディスプレーの高輝度化がアピールの大きなポイントになっている。市場に出回り始めたマイクロOLEDでは輝度を1万ニットに、その先に期待されるマイクロLEDでは10万ニットから100万ニットといった高輝度品の開発競争が繰り広げられている(図1)。

ARグラスのカギを握るレーザーとAI

2024年1月にSan Franciscoで開催された「SPIE AR|VR|MR 2024」では、META Reality LabsのDirectorであるBarry Silverstein氏が「AR/VRの『視覚革命』を読み解く(原題:Peering into the Future: Decoding the Visual Revolution Necessary for AR and VR)」と題して講演した。その中で、ARグラスの中枢となるディスプレーエンジンの動向に触れ、現在マイクロLEDの実用化が待ち望まれているが究極はレーザーであると述べている。レーザーは強い指向性を持つが故に、人間の瞳に向けて映像を送るARグラスではむしろ好都合である。マイクロOLEDやマイクロLEDは面発光のデバイスであり発光した光は角度を持って広がっていく。これまでのディスプレー用途ではこの広視野角特性が好まれてきたが、ARグラスでは光を取り入れるインカップリング部での入射光のロスやウエーブガイド中での光の分散などで、利用効率を大きく落とす原因となっている。

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