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東大、培養皮膚を使用した細胞由来の生きた皮膚を持つ顔型のロボットを開発

マイナビニュース / 2024年6月27日 14時55分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)は6月26日、ヒトの皮膚細胞から作製される「培養皮膚」を利用し、細胞由来の生きた皮膚を備えた顔型のロボットを開発したと発表した。

同成果は、東大大学院 情報理工学系研究科の竹内昌治教授、同・聶銘昊講師、同・小田悠加特任助教、同・河井理雄 短時間勤務有期雇用教職員(現・米・ハーバード大学大学院生)らの研究チームによるもの。詳細は、化学や工学なども含めた物理学全般を扱う学際的な学術誌「Cell reports physical science」に掲載された。

現在のヒューマノイドロボットは、ヒトと同等の柔らかさのある肌を実現するため、シリコンゴムが利用されているが、さらにヒューマノイドロボットにヒトと同等の機能を持たせようとした場合、皮膚に自己修復機能や触覚や温覚・冷覚などのセンシング機能、発汗による廃熱機能などを備える必要があり、その課題はまだ解決されていないという。

そうした中、ヒトの皮膚細胞から作られる培養皮膚をロボット用スキンにするというアプローチのもと、生きている皮膚組織で被覆した指型ロボットなどを開発し、上述の課題の解決を目指しているのが研究チーム。まるで、金属製のエンドスケルトンの上に生きた細胞を備えることでヒトにしか見えない外見を備えるという、映画「ターミネーター」のような技術が実現しつつあるのである。

皮膚組織をロボットの被覆素材にしようとした時の難しさは、同組織をロボットにスムーズに固定するのが容易ではなく、その方法を工夫する必要がある点だという。ヒトの皮膚の場合、その下部にある筋肉との間で滑ってしまうようなことはない。つまり、皮膚は皮下組織とスムーズに面で接着されている。これまでの研究では、生体組織を人工物に固定する際は突起上のアンカー構造を用いて組織の端点のみを引っ掛ける構造が採用されてきた。しかし、突起が突き出る形状のアンカー構造はロボットのスムーズな見た目を阻害し、動作において干渉を発生させてしまう可能性があるという課題を抱えていた。

人体においては、コラーゲンを主成分とする網目状の繊維構造の「皮膚支帯」が皮下組織に存在し、皮膚組織の皮下組織(筋膜または骨)への固定において重要な役割を果たしている。また、この組織は筋肉の動きの皮膚への伝達にも役立っており、特に顔においては表情筋によるスムーズな表情の形成に貢献しているという。そこで研究チームは今回、その皮膚支帯から着想を得て、生きた培養皮膚に覆われた顔型の構造体を作製することにしたとする。

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