1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

理研、高性能かつ伸縮性に優れる「有機太陽電池」の開発に成功

マイナビニュース / 2024年6月28日 19時33分

このほか、伸縮性有機太陽電池の発電層としては、2つの高効率ドナー材料を混ぜてランダム三元共重合ポリマードナーである「Ter-D18」を合成し、さらに低分子アクセプター材料「Y6」と混合させ、「Ter-D18:Y6」を作製。Ter-D18:Y6発電層と透明電極とポリウレタン基板の複合フィルムは、発電層をPM6:Y6としたフィルムと比較すると、COS値において亀裂の発生が遅延され、発電層の機械的特性が改善されていることが確認されたとするほか、ION E未添加またはION Eを5mg/mL添加透明電極の複合フィルムの機械的特性の比較から、ION E添加透明電極の複合フィルムは、亀裂の伝播が抑制されることを確認したとのことで、ION Eを含む伸縮性の高い透明電極は、発電層内の引張ひずみを効果的に非局在化して再分散し、それによって亀裂の発生と伝播を遅らせ、伸縮性有機太陽電池全体の機械的完全性(高い伸縮性)を保証することが確認されたとする。

伸縮性が確認された複合フィルムに、液体金属共晶「ガリウム-インジウム」(EGaIn)から成る上部電極を備えた電子輸送層フリーの有機太陽電池を作製、その性能を評価したところ、Ter-D18:Y6発電層の太陽電池は、伸長前に短絡電流密度(JSC)が25.18mA/cm2、開放電圧(VOC)が0.84V、曲線因子(FF)が0.67、PCEが14.18%という初期性能を確認したとのことで、研究チームによると、これらの値は、PM6:Y6発電層の太陽電池よりも優れていたという。

また、有機太陽電池を伸長ステージに取り付け、伸縮性の分析が行われたところ、PM6:Y6発電層の太陽電池は、32%の引張ひずみで初期PCEの80%が維持されたが、より高い引張ひずみでは急速に劣化することが確認された一方、Ter-D18:Y6発電層の太陽電池は、52%の引張ひずみでも初期PCEの80%を維持することが確認されたとしているほか、伸縮サイクルにおける機械的耐久性の評価から、Ter-D18:Y6発電層の太陽電池は、10%および20%の引張ひずみの100サイクル後も、それぞれ初期PCEの95%および85%を維持していることを確認、顕著な伸縮サイクル耐久性があることが示されたとする。

なお、研究チームによると、今回の設計戦略は、優れたPCEを備えながらも伸縮性に課題を残す、他の優れた発電層材料の伸縮性向上にも適用可能だとのことで、今後、今回の設計戦略を利用することで、高性能な伸縮性有機太陽電池の実現に向けた新しい道が切り開かれ、衣服に貼り付けられる電源としてウェアラブルデバイスやe-テキスタイル用の電源開発につながることが期待できるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください