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伊藤沙莉『虎に翼』のヒット、圧倒的な魅力を放つその理由

マイナビニュース / 2024年7月3日 6時0分

対するように寅子は放送第1週から、完璧な才女。クラスに一人はいた、絶対に自分のキャラではない、しっかりとしたあの子。女子サッカーの元日本代表キャプテン・澤穂希さんの名言「苦しい時は、私の背中を見て」を漂わせる女性だった。
○運動神経の良さが名演技を生んだ?

まずヒロインのキャラクターの際立ちが、伊藤沙莉によってさらに引き出された……と仮定するのなら、その先にあるのはご本人の演技。ここには何があるのかと見ていると、とても運動神経に優れた人ではないかと感じる。その俊敏さが寅子役によく似合っている。

例えば序盤で後に夫となる優三(仲野太賀)を家から玄関を通って追いかけ回すシーン。雲野法律事務所に勤務していた頃、再会したよね(土居志央梨)に駆け寄るシーンなどでの動きの素早さには目を見張った。以前、彼女が出演した舞台『首切り王子と愚かな女』を観劇に行ったことがある。その時も上演中はずっと動いているようなイメージがあり、スピード感のある人だと思っていたけれど、まさか数年後に朝ドラでその様子を見られるとは……

自分が圧倒的な運痴のせいかもしれないが、あの運動神経には憧れる。そこから派生していくような気持ちの良い演技は、朝ドラを支えている。
○純度の高さが寅子と嘉子をつなぐ

最近、SNSで少し寅子の人気が失速しているようなポストを散見した。例えば亡くなった花岡悟(岩田剛典)の夫人に挨拶をする際、「彼の苦しみに私が気づいていれば何か変わったかもしれないのに、ごめんなさい!」と謝罪をした寅子。これがマウントを取っているという。いや、そんなことはないだろう。マウントを取るとは、相手に対して意識的に自分の優位性を示す行為なのであって、寅子にはその気がない。

「正論は見栄や詭弁が混じっていてはだめだ。純度が高ければ高いほど、威力を発揮する」

裁判官の桂場(松山ケンイチ)のセリフに沿っていて、寅子もまた純度が高いだけなのである。男性の伝記ばかりが販売される日本の不条理な風潮によって、今回のモデルの三淵嘉子さんは学校の図書室にある伝記にこそ並んでいなかった。ただそこに並ぶ偉人たちの多くは、自分の好きなことにどこまでも邁進できる純度の高さを持ち、ゆえに天然キャラであったと聞く。寅子もその一人。

伊藤沙莉の運動神経と純度の高い演技が入り混じって、今後も『虎に翼』で視聴者を沸き立たせるはずだ。そんなことを考えながら明日の朝もまた、8時にテレビの前で放送を待つ。
(小林久乃)



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