国立天文台など、天の川銀河に理論予測の倍以上も衛星銀河があると解明
マイナビニュース / 2024年7月1日 15時0分
HSC-SSPの天域(約1140平方度)には、以前から4個の矮小銀河が知られており、そこに研究チームの発見した分を加えると、合計9個の矮小銀河があることになる。実はこの数は、最新の理論で予想される衛星銀河の個数をかなり上回るとのこと。というのも、ミッシングサテライト問題を発端にして、矮小銀河の形成を抑える過程の理論研究もこれまで展開されてきたからだ。そして最新の最も確からしい分析では、天の川銀河に全部で220個程度の衛星銀河があると予測されていた。これをHSC-SSPの観測天域と観測可能な明るさの限界に適用すると、3個から5個の衛星銀河が見つかることになる。しかし実際には9個の衛星銀河が確認されたため、天の川銀河全体に換算すると、少なくとも500個の衛星銀河が存在することになる。よって今度は、“衛星銀河が多すぎる問題”とが生じるのである。
研究チームはこれについて、衛星銀河と同程度の大きさのダークマターの塊の中で、一体どのようにして星ができて銀河になるのかという基本的な物理過程の問題と考えられるとする。現状では、星の形成にブレーキをかけ過ぎた結果になっているため、その過程を計算する精度が足りていないのか、あるいは、見落とされている物理過程があるのか、などを再検討する必要があるという。ただ、少なくとも当初のミッシングサテライト問題は解決できそうな状況であり、その結果ダークマターの標準理論(冷たいダークマター)が生き残れる状況になってきたとした。
また今後は、より広い天域でさらに暗い矮小銀河まで探査範囲を広げ、衛星銀河の個数の統計精度を上げていく必要があるとのこと。その1つに、チリのセロ・パチョンに建設中の「ベラ・ルービン天文台」の「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡」が行う大規模探査がある。望遠鏡のあるチリから観測可能な天域すべてを探査する観測が2025年からスタートする計画であり、研究チームはその開始により多くの新しい衛星銀河が発見され、ダークマターとその中の矮小銀河の形成過程が抱える問題が、一挙に解決されることが期待されるとしている。
(波留久泉)
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