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横国大、コーヒー粕から52%という高収率でCNFの一種を得ることに成功

マイナビニュース / 2024年7月1日 15時38分

画像提供:マイナビニュース

横浜国立大学(横国大)は6月28日、世界中で年間600万トン以上が排出され、これまでは燃やすか埋め立て処分するしかなかったコーヒー粕を原料とし、その乾燥重量の約半分を占める「ヘミセルロース」と「セルロース」のみからなる「ホロセルロース」まで処理した後、高圧下での物理的な衝撃によって水中で微細化を行った結果、52%という高収率で線維幅2~3nm・繊維長平均0.7~1μmの「ホロセルロースナノファイバー」(HCNF)を分離することに成功したと発表した。

同成果は、横国大 工学研究院の川村出教授、横国大 環境情報研究院の金井典子助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、高分子多糖類に関する全般を扱う学術誌「Carbohydrate Polymer Technologies and Applications」に掲載された。

世界中で年間600万トン以上が排出されるコーヒー粕に対して、持続可能な「アップサイクル技術」(廃棄物から環境付加価値の高い物質を新しく創り出す技術)の開発が求められているが、実用化に至った例は数例に留まるという。コーヒー粕は、細胞壁の主要な成分であるヘミセルロース約40%、リグニン約30%、セルロース約10%を含む高純度のセルロース系廃棄物資源であり、焙煎度や種類による違いはほとんどない。そのため近年は、コーヒー粕の細胞壁抽出物を有効利用する研究が活発化している。

細胞壁成分のセルロースは、ナノメートルスケールに細かくすることで、超極細の繊維であるセルロースナノファイバー(CNF)が得られる。CNFの製造には、セルロース分子鎖間の強固な水素結合を切断する必要があり、非常に大きい物理的な圧力を加える必要がある。

そうした中、「TEMPO触媒酸化法」(触媒量のTEMPO(常温常圧で安定な有機ニトロラジカル「2,2,6,6テトラメチルピペリジン-1-オキシル」)を含む水溶液中でセルロースを反応させ、軽微な解繊処理をすることでCNFを生成する手法)を用いることで、大掛かりな機械なしでコーヒー粕由来CNFの製造に成功したのが、横国大の川村教授らの研究チームだ。しかし、コーヒー粕に元々含まれるセルロース量が約10%と低いことから、低収率でしかCNFを得られないことが課題だったという。そこで研究チームは今回、セルロースと同じ多糖類に分類されるが、構造の異なるヘミセルロースに着目して、その課題の解決を図ったとする。

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