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JAXAなど、超小型衛星用宇宙推進システムの理論モデルの構築に成功

マイナビニュース / 2024年7月1日 16時18分

画像提供:マイナビニュース

横浜国立大学(横国大)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の両者は6月28日、真空中でイオン液体を含浸した「多孔質エミッタ」からイオンを放出し宇宙推進機として推力を発生させる物理メカニズムに関して、マルチスケールな解析を不要とする簡易な理論モデルを構築し、放出イオン電流の実験結果を精度良く説明することに成功したと共同で発表した。

同成果は、横国大の髙木公貴大学院生(JAXA 宇宙科学研究所(ISAS)所属/科学技術振興機構(JST) 創発プロジェクト・リサーチ・アシスタント)、JAXA 宇宙飛翔工学研究系の月崎竜童准教授、同・西山和孝教授、東京大学の山下裕介博士(現・米 スタンフォード大学)、同・鷹尾祥典准教授(JST創発研究者)らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学協会が刊行する応用物理学に関する全般を扱う学術誌「Journal of Applied Physics」に掲載された。

これまで人工衛星といえば、現在の区分でいう大型衛星が一般的で、トン単位の質量も普通だ(たとえば7月1日に軌道投入に成功した「だいち4号」は約3トン)。しかし近年はそうした大型衛星だけでなく、100kg以下の超小型衛星が注目されている(中には、質量1kg台の超軽量衛星もある)。そうした超小型衛星の代表としては、10cm×10cm×10cmの立方体を最小ユニット(「1Uサイズ」と呼ばれる)として規格化した「キューブサット」があり、1つの大学や民間企業でもそれほど予算や期間をかけずに開発できることもあって、その打ち上げ数は大きく増加中だ。

超小型衛星は、一度の打ち上げで多数を同時に軌道に投入しやすかったり、大型衛星の打上げの際の空いたスペースを利用する相乗りを利用できたり、国際宇宙ステーションに一度運んでそこから軌道に投入する方法なども取れたりすることから、大型衛星とは異なり「コンステレーション」(全地球規模で多数の衛星を配置すること)も構築しやすく、それによる通信インフラの整備が急速に進められるなど、新たな産業基盤として構築されつつある。

しかし超小型衛星のその軽量コンパクトさは、メリットであるのと同時に、デメリットでもある。そのサイズに適した宇宙推進器が存在しないのだ。従来用いられてきた化学推進機は高圧ガスの制約が大きく、イオンエンジンなどの電気推進機は電力が不足してしまうなど、良い推進機の選択肢が現状ほとんどない。そこで研究チームは今回、超小型衛星でも自由に宇宙空間を動力航行できることを目的とした新技術の確立を目指したという。

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