カレー沢薫の時流漂流 第306回 Xの「いいね」廃止が改悪か改善か本当にわからない相互理解の難しさ

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朝起きたらXから「いいね欄」が消えてきた。

前々から有料ユーザーはいいね欄の非表示が可能になるなど、動きがあったようだが、突然全ユーザーのいいね欄が非表示になったようである。

いきなりのことに確かに驚いたが、それよりも私が驚いたのが、想像以上に多くの人間がいいね非表示化を嘆き「改悪」がトレンド入りするまでになっていた、という点だ。

○「いいね」廃止を惜しむ声、共感する人しない人

いいね欄を惜しむ声が多すぎて、あまり大きな声では言えなかったが、実は私は「いいね」は第三者から見えない方がいいと思っていた派である。

それも、いいねがリポスト同様に他人のTLに流れる謎仕様をどうにかしてくれと思っていたぐらいで、それがなくなった後は、そこまでいいねのことを気にしてはおらず、他人のいいね欄に関しては見に行ったことすらなかった。

よって多くの人間がいいね欄の消失を嘆いていることに驚いた。

だが、そもそもいいね欄葬儀会場に来て号泣しているのは、生前いいね欄と親交があった人間だけである。

昔Xで「検索結果が時系列順に表示されない」という不具合が起こった。

これの何が不具合かというと、とにかくエゴサがしづらいのだ。

よって私含む末期のエゴサーチャーたちがこの不具合に「殺すつもりか」と暴れる氏になっている姿が散見されたのだが、エゴサどころか検索機能すら使わない人間はこの不具合に気づきすらしなかっただろう。

いいね欄も、いいね欄を見ていなかった人間は特にコメントがないため、泣いている人間ばかりが目につき、大多数の人間がいいね欄の死を悼んでいるように見えるだけかもしれないが、トレンドに挙がるぐらいなので、全員でなくても多くの人間がいいね欄を見ていたということが分かる。
○いいね充な人たちはこんな風に「いいね」していたはず

いいね欄がどのような意図で閲覧されていたかというと、まず「好意を寄せている人物の嗜好を知るため」というのがある。

初手から、廃止正解説が濃厚になってきそうな滑り出しだが、見ていい場所にあるものを見て何が悪いという話だ。

全身ピンクの服を着ている人を見て「この人はピンクが好き、もしくは林家ペーorパー」という感想を抱くなんてキモいとからやめろ、と言っているようなものだ。

私も、気になる二次元キャラが現れたら、何はなくともそのキャラのプロフィールを知ろうとするし、もちろん好きな食べ物とかも知りたい、気になる人間が何を「いいね」と思っているか知りたいという気持ちはわかる。