大半が7月上旬に第1話、6月開始も6本 なぜ今夏のドラマは“早期スタート”なのか
マイナビニュース / 2024年7月3日 11時0分
いずれにしても、夏ドラマは他のクール以上に第1話から第3話の序盤で視聴者を引きつけることの重要性が高く、「他作に先駆けて放送したい」「このドラマだけ遅れるわけにはいかない」という意識になりやすい。ただ、他作も早いスタートを選ぶことは分かっているため、「いかに目立って興味を引くか」「いかに話題を集めるか」が求められている。
そのため近年、制作サイドの間で浸透しているのは、「配信再生数、X(Twitter)のトレンドランキング、TVerのお気に入り登録数などで早めに好結果を出して報じられておきたい」という意識。特に配信再生数は早くスタートさせたほうが「初回200万回突破」「第1・2話累計500万回突破」「ここまでの放送で1000万回突破」などのポジティブな数字を発表しやすく、世間に「ヒット作」「面白い」という印象を与えられる。
「ドラマのネット記事はエンタメ全ジャンルの中で最も多く、SNSの動きも活発」と言われ、だからこそ各クールの“第1ヒット作”になることの重要性は増す一方。最初にヒット作とみなされたドラマに他作が追い付くのは難しく、好評でも2番手扱いにされやすいところがある。実際、昨夏のヒット作『VIVANT』(TBS)に対する『ハヤブサ消防団』(テレ朝)がそんな形になり、視聴者の評判は負けていなくても話題性で圧倒され、陰に隠れるような形になってしまった。
●フジ月9は早期スタートが定番
さらに、各局の「自信作」「失敗できない力作」ほどスタート時期は早くなりがちで、逆に遅いスタートのヒット作は生まれづらくなっている。「遅いスタートによって存在感が薄れてしまう」という事態だけは避けたいのだろう。
例えば、フジテレビの看板ドラマ枠“月9”は、昨夏の『真夏のシンデレラ』が7月10日、2022年の『競争の番人』が7月11日。さらに東京オリンピックがあった21年の『ナイト・ドクター』は6月21日という早期スタートだった。それ以前も19年の『監察医 朝顔』が7月8日、18年の『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』が7月9日と早く、夏の早期スタートを定番化させたと言ってよさそうだ。
ちなみに、フジテレビの今夏ドラマにおける早期スタート戦略は、今週の『ぽかぽか』「ぽいぽいトーク」のゲストを見ると分かりやすい。1日に『海のはじまり』の目黒蓮が登場し、3日に『新宿野戦病院』の小池栄子と仲野太賀、4日に『ギークス~警察署の変人たち~』の松岡茉優、田中みな実、滝沢カレン、5日に『ビリオン×スクール』の山田涼介、志田未来が生出演する。つまり、フジ制作のドラマが放送されない火曜以外はすべてドラマ出演者がキャスティングされていて、早期スタートが局の明確な戦略ということが分かるだろう。
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