大河原克行のNewsInsight 第304回 陳謝ではじまったシャープの新経営体制、株主総会で宣言した新「SHARP」の姿
マイナビニュース / 2024年7月2日 14時20分
さらに、中小型ディスプレイ事業に関しては、生産能力の縮小やOLEDラインの閉鎖が間もなく完了するほか、今後も顧客動向にあわせて継続的に工場の最適化を図るとともに、遊休スペースを半導体分野などに転用すべく、様々なパートナー企業と協議を進めていることを示した。カメラモジュール事業や半導体事業は、事業の親和性が高いパートナーに譲渡する方針のもと、具体的な協議を進めていることも明らかにした。
「アセットライト化の取り組みは順調に進展しており、具体的な発表ができる段階になったら、順次、改めて説明する」(沖津氏)と述べた。
一方で、ブランド事業を強化する姿勢を強調。「いままでは、デバイス事業への投資が多かったが、今後は、ブランド事業に投資を集中させ、人に真似されるようなオンリーワン技術を持った製品を作り上げていく。浅く、広くでなく、尖った製品にはどんどん投資をする考えで進める。AQUOSは、2023年秋以降、シェアを伸ばし、日本ではほぼトップになっている。ドライヤーは2023年9月に発売以来、毎月、前年比2倍以上の販売実績がある。限られた資金のなかで開発することになり、苦労はしているが、真似される製品を作るという創業者の精神を忘れずに努力する。ブランド事業で利益を稼ぎ、財務体質の強化を図る」と述べた。
新たな取り組みとして初めて明らかにしたのが、2024年5月からスタートした「イノベーションアクセラレートプロジェクト」である。通称「I-Pro(アイプロ)」と呼ばれ、シャープが過去に多くの成果をあげた「緊急プロジェクト(緊プロ)」を進化させた新たなプロジェクトと位置づけている。CEO主管で、シャープの総力を結集した全社プロジェクトとし、現在、生成AI関連と、EVエコシステム関連の2つのプロジェクトを推進しているという。
同社では、2024年9月17日、18日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、「TECH-DAY‘24 INNOVATION SHOWCASE」を昨年に引き続き開催。I-Proの成果をはじめとした様々な取り組みを紹介することにも触れた。
沖津新社長は、「鴻海との中長期の成長に向けて、緊密に連携を深めることで、取り組みのスピードを一段加速し、信頼の日本ブランド“ SHARP ”を確立していく。2024年度の黒字化必達に向けて邁進し、中期経営方針を着実に実行し、信頼回復に全力をあげる」と、新社長としての抱負を述べた。
○シャープ再建なるか? 株主からは批判の声が相次ぐ
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