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大河原克行のNewsInsight 第304回 陳謝ではじまったシャープの新経営体制、株主総会で宣言した新「SHARP」の姿

マイナビニュース / 2024年7月2日 14時20分

だが、総会では、株主からの厳しい意見が相次いだ。

「経営者として失格である」、「株主に配当がないから言っているわけではないが、赤字なのに社外取締役報酬を上げるのはおかしい」、「他社に真似されるような新しい製品がまったく出ていない」、「シャープの製品に魅力がない」、「シャープの製品は品質が悪くなっている」、「製品や事業を取捨選択する覚悟があるのか」、「過去の栄光にしがみついて、決断ができていない」、「経営陣は現場に足を運んでいるのか」、「経営陣は社員から信用されているのか」、「社内のコミュニケーションが悪くなっているのではないか」など、株主の声には容赦がなかった。

沖津新社長は、「デバイスの赤字を縮小し、ブランド事業の成長で、2024年度の黒字達成を目指す。テレビや白物家電も世界的にみれば成長している市場があり、普及率が高い成熟市場においては、付加価値の高い製品に置き換えていく。選択と集中で製品を供給し、売上げを伸ばしていく考えである。B2Bでは、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアを付加した新たな事業領域にすばやく転換していくことを目指す。スマホの国内市場は伸びないが、その技術者をXRなどの新たな製品に振り分けて、強化していくことにも取り組んでいる。スピードが重要な項目であることは認識している。社長として、速い決断を貫いていく。中期経営計画の数値目標については、アセットライト化の進捗を考慮した検討ができる時期がくれば明確にしていきたい。利益を重視した経営を徹底する」と述べた。

また、「昨年から、鴻海の劉揚偉董事長が月1回、日本を訪れ、頻繁にコミュニケーションをしている。私は、ダイレクトにメールで話ができるようになっている。鴻海はAIサーバーを生産し、EVも作っている。これらの技術を活用しながら、シャープの新たな事業の推進スピードを上げていく」とした。

なお、今回の株主総会および取締役会では、シャープの会長に、劉董事長が就任する人事も決定している。

さらに、沖津新社長は、「私は現場が大好きであり、休みの日も量販店を訪問している。先日、九州の営業拠点で若手社員10人と2時間ほど話した。そこで、本社の発信と末端の社員では温度差があることを感じた。新たな仕組みを作り、社員全員がひとつになって、中期経営計画の策定に進みたい」と述べたほか、株主の提案を受けて、「辻さん(辻晴雄元社長)、町田さん(町田勝彦元社長)にはコンタクトを取って、先輩社長からの指導を受けたい。私は、OBからの指導を受けていまに至っている。OBの意見に耳を傾けて参考にしたい。期待に応えられるように全力を尽くす」と語った。

一方、呉社長兼CEOは、「期待に応えられなかったことを反省している。2024年度の最大の目標は営業利益で100億円、最終利益で50億円の黒字を達成することである。これを必ずやり遂げる。ディスプレイデバイスの大幅な赤字を縮小するために大きな決断をした。2027年度に向けて施策を考え、プランを練っているところである。しかるべきタイミングで発表したい」とした。
(大河原克行)



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