徳島大など、ニワトリ胚の雌雄を卵の外から早期に判別可能な方法を開発
マイナビニュース / 2024年7月2日 18時49分
徳島大学と同大学発ベンチャーのセツロテックの両者は7月1日、採卵鶏の卵を割ったりせずに外から光学的な観察で雌雄の判別を付けられる技術として、非遺伝子組換え型のゲノム編集技術を活用して、孵卵7日目の時点でオスの目が黒く、メスの目は透明という鳥類独自の卵の雌雄判別方法を開発したことを共同で発表した。
同成果は、徳島大 先端酵素学研究所の竹本龍也教授、同・下北英輔助教(研究当時)、セツロテックのチェン・イーチェン研究員らの共同研究チームによるもの。また、日本国内における特許が取得済みであることも発表された。
採卵鶏(レイヤー)の生産においては、卵を産むメスニワトリのみを大量に生産することが求められるため、不要となるオスのひよこは生後間もなく殺処分されている。その数は、世界中で毎年60億羽以上、日本国内だけでも年間に1.3億羽以上になると推定されている。この大量の殺処分は、近年アニマルウェルウェア(動物福祉)の観点から世界中で問題視されており、すでにドイツやフランスなどの欧州の一部の国では、ニワトリ胚が機械的刺激に反応する(つまり痛みを感じると考えられている)孵卵13日目以降のひよこの殺処分禁止の法整備が進められている。この課題を解決するため、すでに多くの企業や研究機関が、ふ化前の段階で卵の中のひなの性別を判別できる技術(in-ovo sexing)の開発に取り組んでいる。しかし、遺伝子組換え技術を使わない手法で、かつ法律で規制されている時期までに、簡便に雌雄判別ができる手法は開発されていなかったという。
セツロテックは、徳島大発のゲノム編集スタートアップで、ニワトリのゲノム編集の研究も取り組んでいる分野とのこと。これまで、同社独自のゲノム編集技術を活用して、ゲノム編集ニワトリ個体の作出にも成功している。また、徳島大と九州大学との共同研究で、「効率的なニワトリ新品種作出」と「始原生殖細胞の可視化」を可能にするゲノム編集ニワトリの作出などにも成功した実績を持つ。そこで研究チームは今回、ゲノム編集技術を活用した鳥類の卵の雌雄判別方法を開発したという。
今回の手法は、鳥類の性染色体(鳥類は、ZZでオス、ZWでメスのZW型の性染色体を持つ)であるZ染色体上の網膜色素関連遺伝子に、非遺伝子組換え型のゲノム編集を施すことで、発生中の鳥類胚の色素網膜、つまり“目の色”の違いでオスとメスが判別できる手法だ。なお、非遺伝子組換え型のゲノム編集とは、鳥類自身がもともと持っている遺伝子を改変することのみで目の色が変えられており、他の生物の遺伝子(外来遺伝子)は導入されていないことを表す。
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