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名大、食品成分が身体に作用する機能性を推定できるAIシステムを開発

マイナビニュース / 2024年7月3日 17時58分

画像提供:マイナビニュース

名古屋大学(名大)は7月2日、約5万種類の食品成分化合物と約4800種類のヒトタンパク質の間の相互作用を探索し、疾患に関与するタンパク質群の制御を考慮できる食品の機能性を網羅的に予測する新しい機械学習手法を開発、876種類の食品が有する新しい機能性や、その作用メカニズムの推定に成功したと発表した。

同成果は、名大大学院 情報学研究科の山西芳裕教授、九州工業大学大学院 情報工学府の三枝奈々子大学院生、同・大学大学院 情報工学府の柴田友和研究員、ハウス食品グループ本社の共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行する化学情報科学と分子モデリングに関する全般を扱う学術誌「Journal of Chemical Information and Modeling」に掲載された。

日本を筆頭に、先進国では高齢化が進んでおり、医療費の増大が大きな社会問題となっている。原因の1つには健康寿命と平均寿命の乖離があり、その解決には健康維持に対する日常的な取り組みが重要だ。食品は日々摂取するものであり、また食品に含まれる成分化合物には生体を調整するものが数多くある。このことから、食品を選択的に摂取することは疾病予防だけでなく、平均寿命の延伸にもつながると考えられるとする。しかし、ほとんどの食品の健康効果やその作用メカニズムはよくわかっていないのが現状。そこで研究チームは今回、生命医薬ビッグデータを用いて、食品の機能性を網羅的に予測する機械学習手法の開発を試みることにしたという。

今回の研究ではまず、食品成分化合物とヒトタンパク質の相互作用が、生命医薬ビッグデータを機械学習で解析することにより導かれた。次に、食品成分の化合物の構造情報を用いて、食品が作用するタンパク質群の推定が行われ、最後に、疾患に関与するタンパク質群の制御を考慮することで食品の機能性の予測が行われた。

今回開発された手法が876種類の食品に適用され、食品と健康との関連性の大規模な予測を実施。導き出された食品と機能性の組み合わせには、過去の実験的手法によって関連性が認められているものも多く含まれており、今回の手法があらゆる食品の機能性について探索できることが確認されたという。

食品には、経験則的に古くから知られている機能性があるものが多い。しかし、それにも関わらず、どのように生体内で作用しているのか、そのメカニズムが不明なものが非常に数多く存在するという。そこで、食品がどのようなメカニズムで機能するのかを探索するため、食品成分化合物およびヒトタンパク質を介した食品機能性の階層的なネットワークが描かれた。たとえば、グレープフルーツは34種類の成分化合物から14のヒトタンパク質を介して4種類の疾患と関連していることがわかるという。

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