京大など、半導体テラヘルツ発振器からの波形計測と制御を実現
マイナビニュース / 2024年7月4日 17時37分
京都大学(京大)、兵庫県立大大学、大阪大学(阪大)、ローム、科学技術振興機構(JST)の5者は7月3日、Beyond 5G/6Gでターゲットとされる「テラヘルツ電磁波」(テラヘルツ波)を利用するためのキーデバイスである「半導体テラヘルツ発振器」において、「共鳴トンネルダイオード」を用いた小型の半導体テラヘルツ発振器から放射されるテラヘルツ波の波形計測と制御に成功したと共同で発表した。
同成果は、京大大学院 理学研究科の有川敬助教(現・兵庫県立大大学院 工学研究科 准教授)、同・田中耕一郎教授(京大 高等研究院物質-細胞統合システム拠点 連携主任研究者兼任)、阪大大学院 基礎工学研究科の西上直毅大学院生(研究当時)、同・冨士田誠之准教授、同・永妻忠夫教授(現・阪大 産業科学研究所 特任教授)、ロームの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。
現在、スマートフォンなどの移動通信システムでは、第4世代(4G)が主流で、第5世代(5G)が徐々にその利用範囲を拡大しており、次世代の6G(Beyond 5G)の研究開発も進んでいる。
Beyond 5G/6Gにおいて、5G以上の超高速・大容量通信を実現するために欠かせないとされるのが、テラヘルツ(THz)周波数帯の電磁波の利用。テラヘルツ波は、およそ0.1THz(100GHz)~10THzという、電波と光の中間領域の周波数を有する電磁波のことをいう(可視光や赤外光などの光も、電波も波長が異なるだけですべて電磁波である)。テラヘルツ波は、電波の透過性と光の直進性を併せ持つのが特徴だ。
このテラヘルツ波を利用するため、現在、キーデバイスである小型の半導体テラヘルツ発振器の研究開発が活発化している。ところが、オシロスコープなどの電子計測器では、このような超高速振動を観測することができず、その振動波形(位相)を計測し、制御することが困難なことが課題となっていた。電磁波の位相の様子は無線通信において情報伝達に利用できるほか、位相制御を行うことで、ビーム走査を実現することも可能だ。しかし位相を計測し、制御する技術が未発達なため、テラヘルツ発振器ではこれらの機能を実現できていないのが状況である。そこで研究チームは今回、光技術を応用することでそれらの課題の解決を試みることにしたという。
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