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名工大、全固体電池の固体電解質開発を加速させる有用なパラメータを解明

マイナビニュース / 2024年7月4日 17時59分

次に圧粉体のペレット断面観察により、ペレットの形状から相対密度を計算して変形能についての評価が行われ、圧粉体の相対密度が、塩化物間でも大幅に異なることが確認されたという。

また、DRT分析により、ACインピーダンス測定で得られた抵抗の異なる成分が区別された。DRT分析の結果は、2つの抵抗成分の存在を示唆しているとする。各抵抗成分の起源を決定するため、各成分の緩和時間と抵抗のフィッティング値から静電容量が計算された。ここで、XRDパターンから算出される結晶子サイズと、走査電子顕微鏡観察から得られる粒子サイズに対しBrickworkモデルを用いることで、第1と第2の抵抗成分の起源はそれぞれ主に結晶子粒界と粒子粒界であることが判明。そこで変形能の指標として、粒界抵抗(結晶粒界抵抗と粒子粒界抵抗の合計)に対する粒子粒界抵抗の割合Qが、各化合物について比較された。

剛性率と変形能(圧粉体の相対密度と粒子粒界抵抗割合)の相関関係については、全固体電池の代表的な材料である酸化物材料や硫化物材料にも適用できると期待されたことから、酸化物(Li3BO3、Li2CO3、Li2SO4)、硫化物(Li3PS4)に対しても同様の解析が行われた。それらの結果に基づいて、全固体LIB材料の変形能に関して、以下の設計ガイドラインを提案できるとする。

圧粉により相対密度~100%の緻密体を得たい場合、剛性率が12GPa以下の材料が望ましい

圧粉体における粒子粒界抵抗の相対的な大きさを最小限(約10%)に抑えるには、剛性率が18GPa以下の材料が望ましい
(上述の剛性率は、今回の研究における382MPaの一軸プレスの圧粉条件における値)

対照的に、従来指標とされていた体積弾性率Bは変形能との相関性が低いことが確認された。この結果は、転位の移動に関連する剛性率が変形能の適切な指標であることが示されているという。

なお今回の変形能に関する相関関係は、剛性率という変形能指標は電池材料だけでなく、圧粉体が使用される工業や医療の分野にも適用されることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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