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窓辺の小石 第173回 変種第2号

マイナビニュース / 2024年7月5日 11時25分

Phi-Silicaは、Microsoftのデモプログラムなどによれば、「ブドウ糖の化学式は」という問いに回答できる程度の知識は持つようだ。Phi-Silicaモデルは、Windowsに搭載される予定で、Windows App SDKを使ってソフトウェア開発が可能だ。

ローカル推論のメリットは、コンテキストの取得やシステムの変更が可能になる点だ。また、ユーザーの情報や文書を外部に出さないため、セキュリティやプライバシーという点でも有利だ。いまのところ、設定変更や操作などをローカル推論で行うことに関しては、特に発表はないようだが、今後のWindowsのアップデートなどで可能になると思われる。たいしたことがないように見えるが、自然言語で指示するだけでコンピュータを操作できることになり、ユーザーインターフェースのあり方が変わり、GUIの導入と同じぐらい大きな変化であるとも言える。

今は、Qualcommのプロセッサ(ARMアーキテクチャ)を使うCopilot+ PCのみだが、年内にAMDやIntelの新しいプロセッサの登場に合わせ、Copilot Runtimeの改良が進むはずだ。Microsoftのドキュメント(Copilot+ PCs Developer Guide)をみると、Copilot+ PCであるためには、40 TOPS以上のNPUを搭載する必要がある。IntelのLunar Lake(Core Ultra)、AMDのStrix Point(Ryzen Ai 300)などが、Copilot+ PCの前提条件を満たすという。これらは、年内には搭載製品が出荷される予定だ。

Copilot in Windowsが、Bing Copilotに戻るのは、ローカル推論を行う新しい「Copilot」に切り替えるためだ。このようにすることで、NPUを搭載しない従来のPC(非Copilot+ PC)では、今と同じCopilotが動作することになる。そしてNPUを搭載したCopilot+ PCでは、Phi-SilicaでWindowsの設定変更などが可能になると考えられる。これが前々回の記事で述べた「『できること』に違いが出る」ことの1つだ。

Phi-Silicaを使ったAI機能は、Copilot in Windowsの後継として、Copilotに似た名前、たとえば、Copilot+などという名前で呼ばれるようになるはずだ。その導入のタイミングは、CPUメーカーのNPU搭載プロセッサが揃い、Windows 11 Ver.24H2が出るときだと思われる。

タイトルのネタは、ディック(Philip K. Dick)の「変種第2号」(原題 Second Variety)である。日本で独自に編纂されたハヤカワ文庫の短編集タイトルにもなっているが、海外にもこの作品を表題作とした短編集が2冊ほどある。だが、意外に中身が一致していない。評価は一致するが、編者により見えているものが違うということか。
(塩田紳二)



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