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星野リゾート代表が語る、ビジョンの重要性と組織づくりの秘訣とは?

マイナビニュース / 2024年7月10日 8時0分

これに対して星野さんは、「私のなかではあまり矛盾しているという捉え方はしていない」と語ります。星野さんにとって「教科書」とは、「具体的な課題を抱えているとき」にその解決への「治療法」として選ぶものだからです。

それぞれの主張がバッティングしたとしても、「この課題への治療にはこの教科書が一番効く」と判断するのは自分自身。経営者に問われるのは、「教科書というツールを使いこなす術」であり、そのツールをいったん信じたらそれを「しつこくやる」ことも大切になる。では今度は、ビジョンの追求と利益の追求が矛盾する場面に出くわしたときはどうするのか、と土方さんは問います。この質問に対する星野さんの回答にはハッとさせられました。
■フラットな組織に「思い」を浸透させるには

星野リゾートはコロナ禍における対応がうまくいっていたことを評価されています。その秘訣はどうやら「組織のつくり方」にありそう。星野リゾートではケン・ブランチャードの理論にもとづいた「フラットな組織文化」を志向しているとのこと。

危機にあたっては、経営判断はもとより、普段から組織が「対応可能な状態」になっていることが大事なのではないかと星野さんは語ります。「ビジョナリー・カンパニー」シリーズはその教科書としても最適。なかでも『ビジョナリー・カンパニーZERO』には、ビジョンの設定と同じくらい社員への共有が重要だと書いてあるのです。共有は組織としての強さを生みます。

たしかに、ビジョンを設定するだけで浸透しなければ、それはただの「お題目」になってしまう。社員がそのビジョンを将来像として真剣に思ってくれない。だからこそ星野さんは、毎年「強烈な勢いで共有の仕事をやっていた」。そのひとつが、社員それぞれの誕生日にメッセージ付きで配っていたカップ(Visionary Cup)。なるほどと感じる取り組みです。
■「教科書を読ませる」という感覚は大人じゃない

星野リゾートの理念を実現していくには、それこそ社員全員が『星野リゾートの教科書』に掲載されているような本に親しんでもらい、共有していくことも必要なのでは、と土方奈美さんは問いかけます。

星野さんはその言葉にうなずきながらも、「読ませている」となると「フラットな組織文化」ではなくなると返します。星野さんたちが目指しているのは「マチュアな組織」。学校の先生と生徒の関係のように、会社が「こうしなさい」とルール化すればするほど、新しい発想を出しにくくなってしまう。

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