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3個の中性子のみから成る量子系は不安定、東北大などが実験にて証明

マイナビニュース / 2024年7月5日 17時50分

三中性子系については今回の研究にて、ほぼ無反跳条件下での生成が行われ、弱束縛の系の観測に最適な条件が実現された。得られた三中性子系のエネルギースペクトルをグラフ化したところ、二中性子系、四中性子系ではピーク構造が観測されていたのに対して、三中性子系にはピーク構造が出現しないという違いがあることが確認されたとする。これは、三中性子系が二中性子系、四中性子系と比較して不安定であること示すものであると研究グループでは説明しており、この結果から多中性子系は、粒子数の偶奇によって安定性に違いがあるという独特の性質を有することが示唆されたとする。

また、三陽子系のエネルギースペクトルが調べられたところ、三中性子系の結果との比較から三陽子系の方が高いエネルギー領域に分布が存在していることが判明。この結果については、クーロン斥力が作用することで不安定になったためと解釈できるとしている。

その一方で、両者のスペクトルの概形はとても良く似ていたことから、三中性子系と三陽子系の構造が類似していることも新たに示唆されたともしている。元々、中性子間、陽子間のそれぞれに作用する核力の強さは荷電対称性と呼ばれる対称性の下にほぼ同一であることは知られていたが、三陽子系にはさらにクーロン斥力という擾乱が追加されているにも関わらず、三中性子系と類似した構造が見られるという点については、研究グループも驚かされたとしている。

なお研究グループでは今後、さらに研究の精度を向上させてゆくことで、その中で作用する新しい種類の核力の解明にもつながる可能性があるとしている。特に、同種三核子間に作用する核力は、まだ解明が始められた段階にあり、今回の実験で得られた同種三核子系のエネルギースペクトルは、その基礎を与えるものとして重要だとしているほか、こうした研究は、宇宙に多数存在することが明らかとなっている中性子星の構造の解明にもつながり、星の進化や元素の合成の過程を解明する上でも重要な意味を持つともしている。すでに研究グループでは、粒子数6までの多中性子系を生成する新たなプロジェクトの推進を開始しているという。
(波留久泉)



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