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名大がMg挿入GaN型超格子の形成に成功、P型GaNデバイスの性能向上に期待

マイナビニュース / 2024年7月5日 18時58分

画像提供:マイナビニュース

名古屋大学(名大)は7月4日、GaNと金属マグネシウム(Mg)の簡単な熱反応により、独特な超格子構造が形成されることを確認し、P型GaNベースデバイスの性能向上の可能性が示されたと発表した。

同成果は、名大 高等研究院/未来材料・システム研究所の王嘉 YLC特任助教、同・天野浩 教授らの研究グループによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。

GaNは置換型Mg原子によるドーピング(P型ドーピング)により、P型GaNが実現されて以来、LED照明や半導体レーザーとして活用されてきたほか、近年では、その特性を活用したパワー半導体の活用も進められており、省エネ社会の実現ならびにカーボンニュートラルの目標達成などの実現のカギを握る半導体材料として注目を集めている。

しかし、GaNのP型ドーピングはそれが実現されてから35年以上が経過した現在でも良く分かっておらず、Mgが依然として唯一知られているドーピングのための不純物元素となっている。特にGaN中のMg原子の拡散挙動やドーピング活性化のメカニズム、中でもGaN格子内でのMgの低い固溶限と容易な偏析特性については十分に理解されているとはいえず、これが光電子および電力制御デバイスにおけるP型GaNの性能を制約する原因と考えられている。そこで研究グループは今回、GaN上にMgを堆積した後にアニーリングを行い、詳細な調査を行うことにしたとする。

今回の研究では、大気圧下でGaN上に金属Mg膜をアニーリングすることにより、GaN表面に特異な単原子層Mgは周期的に挿入されるインターカレーション現象を発見。詳細な観察から、六方晶GaNの原子層とMg単原子層が交互に配置された超格子構造(Mg挿入GaN型超格子、英語ではMg-intercalated GaN superlattices、略称MiGs)が自発的に形成されることを確認したとする。これは、二次元金属が半導体材料に挿入された初めての例とのことで、研究グループではこの独特な挿入メカニズムを「侵入型挿入」と命名。MiGs構造の存在が、この侵入型挿入の実例だとしている。

MiGs構造の特徴は、これまで発見されていた挿入メカニズムとは異なり、元来元素の単原子面が基体に挿入されるが、全層を貫通するものではなく、常に母材内に埋め込まれていること、ならびに外来原子は常に母材原子の格子間位置にあり、置換位置にはなく、母材原子層の連続性と完全性を保持する点にあるという。

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