佐野正弘のケータイ業界情報局 第130回 価格高騰でミドル~ミドルハイクラスに活路を求めるスマホメーカーを待つ“茨の道”
マイナビニュース / 2024年7月8日 11時30分
それに加えてarrows We2 Plusには、スマートフォンとして世界初となる自律神経測定機能を搭載。京都大学の名誉教授である森谷敏夫氏の監修のもと、独自のアルゴリズムで自律神経の活性度を測定し、健康管理に役立てる機能が備わっており、こうした点は従来のFCNTらしさを感じさせる部分といえます。
ミドルクラスに集中する新製品を待ち受ける「Pixel 8a」
そして実は、2024年5月以降に発表されたスマートフォン新機種を改めて振り返ると、arrows We2 Plusと同様にミドル~ミドルハイクラスに位置するスマートフォンが非常に多い印象を受けます。実際、同じレノボ・グループ傘下のモトローラ・モビリティも、ミドルクラスに位置する「motorola edge 40 neo」を5月に、「motorola edge 50 pro」「motorola edge 50s pro」を7月に発表しています。
他のメーカーの新製品を見ても、ソニーの「Xperia 10 VI」やサムスン電子の「Galaxy A55 5G」、そしてシャオミの「Redmi Note 13 Pro 5G」「Redmi Note 13 Pro+ 5G」と、ミドルクラスが多く並んでいることが分かります。また、シャープが発表した上位モデル「AQUOS R9」も、搭載するチップセットがクアルコム製の「Snapdragon 7 Gen 3」で、オープン市場向けモデルの価格も10万円前後が予定されていることを考慮すると、ミドルハイクラスに位置するものと考えてよいでしょう。
その一方で、シャープは2024年は最上位のフラッグシップモデルの投入を見送っていますし、ソニーもフラッグシップモデルの「Xperia 1 VI」でディスプレイの解像度を引き下げるなどして、販売を増やすためユーザーニーズに応えることに重点を置くなど苦慮している様子がうかがえます。
なぜ、各社の新製品がミドル~ミドルハイクラスに集中しているのかといえば、要はハイエンドのスマートフォンが高くなりすぎて売れないためです。円安などによってフラッグシップモデルが軒並み20万円台を記録しているのに加え、政府のスマートフォン値引き規制によって携帯各社による値引きも期待できなくなってしまいました。
そのため、消費者が高額なフラッグシップモデルを敬遠する傾向が強まっているというのは、これまでにも何度か触れている通りなのですが、それだけにメーカー側も、日本市場にフラッグシップモデルを投入してもあまり売れないと判断している様子で、確実に売れるミドル~ミドルハイクラスに重点を置くようになったといえるでしょう。
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