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カレー沢薫の時流漂流 第307回 ところでフロッピーはデジタル規格だと思うが日本の「アナログ狩り」の話

マイナビニュース / 2024年7月8日 13時15分

画像提供:マイナビニュース

FAXに殺されそうになったところをマイナンバーカードに助けてもらった、でおなじみのデジタル庁河野氏が、前々から日本政府が進めている「アナログ規制撤廃」について、ついに「フロッピーに関しては近く全廃が完了する」と発表したそうだ。

河野氏の経歴は今私が言い出したことであり、全然なじんでいないと思うが、とにかくデジタル化とマイナンバーを推し進めている人という印象になっている。ちょっと前はワクチンだった気もする。

さて、日本は諸外国に比べて「デジタル化」が遅れており、それを国外から笑われることも多かった、だがそれを逆手にとり東京オリンピックの際に選手の激励をFAXで募集して、他国を戦慄させる心理戦を行ったことはあまりに有名だ。

ちなみにこれは1964年開催の東京オリンピックの話ではない。
○確かに事務の御作法はマナー講師と見まがうほどだったが……

私も会社員時代には、データで届いた書類を紙に印刷し、古老の机に捧げに行く巫女の仕事を10年近くやっていた。

もはや「神事」であり、伝統や格式の観点からこれを安易に撤廃していいのか疑問だが、これを神事ではなく「事務」と仮定するなら、無駄が多くコスパが悪いとしか言いようがない。

よって日本は国を挙げてデジタル化を進めてきたのだが、いつの間にか話が「デジタル推進」から「アナログ絶許」になってしまっていないだろうか。

しかし、古き支配者を倒し、新しい指導者を擁立するのが「革命」である。

新旧支配者が、王座を2ケツしている国が上手く行くはずがない、特に日本は古い側の方がケツ幅を取りがちだし、気づいたら全ケツ古い側が占拠し「元通り」になっていることも珍しくない。

そこに山があるからのぼるように、そこにFAXがあるから「FAXで送ってくれ」という指示が通ってしまい、FAXで送るためだけに出力された紙書類、という望まれぬ命が誕生してしまうのだ。

日本のデジタル化を阻んでいるのは未だオフィスの場所を取り続けるアナログであり、そいつらを追い出さないことには、デジタルの夜明けはないというなら、推進の前に廃止が入るのも仕方ないのかもしれない。

しかし、大臣がFAXに殺されかけ、フロッピーに村を焼かれ、内モモに印鑑を押されまくったせいなのか、「早急に全廃」など、アナログを敵とみなし、極端な発想になりすぎているような気もする。

ストーキング相手の恋人を殺せば自分が恋人の座につけるわけではないように、オフィスの窓からFAXと投げ捨て、フロッピー手裏剣で印鑑絶対必要勢を始末し、最新機器を導入すれば一瞬で業務がスムーズになるというわけでもない。

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