VisaのAI活用は30年以上、より安全で快適な決済体験のために行われてきたこととは?
マイナビニュース / 2024年7月12日 11時21分
EMV 3DSは、こうしたスコアなどから不正ではないと判断すればそのまま決済が完了するため、従来のように別途ワンタイムパスワードを入力するといった手間がなく、85%の決済時間の短縮と70%のカゴ落ち率の減少といったメリットがあります。
Visa Advanced Authorization(VAA)は、約30年に渡ってVisaNetで動作しているAIで、「かなり多くの不正取引を実際に削減している」と田中氏。その削減規模は年間で280億ドルにもおよび、約1ミリ秒あたり500以上の取引を処理できるなど高速に動作しています。
2020年から展開されているSmarter STIPは、Visaでにおける初のリアルタイム決定を行う深層学習モデルとされています。基本的にはイシュアのシステムが停止した場合にVisaが取引を代行することでオーソリを処理するプロダクト。これまでは決まった金額や件数の中で代行処理をしていましたが、Smarter STIPだと深層学習モデルを活用して過去の承認状況などのデータや個別の承認パターンを活用して代行処理を行います。
○生成AIの活用は?
こうした中、同社は生成AIにも取り組み始めています。現状は、「生成AIを活用した業務効率化や不正防止などのソリューションをイシュアやアクワイアラなどに提供する」という形のようです。
例えば不正防止では、偽造・盗難されたの身分証明書を使ったeKYCで不正を検知する技術や盗難されたカードやクレジットマスター攻撃などをリアルタイムで判定して不正取引を検出するといった技術が生まれています。
Visaは金融機関に対して提供するのは、例えば過去の購買パターンという大規模データを活用して、生成AIが「旅行予約やレンタカー予約をした人は次にこうしたものを購買する」といった予測を行うターゲティング広告の仕組みや、生成AIを社内で取り組むことの検討の支援、チャットボットや分析ツールなど生成AIソリューションの共同開発などだといいます。
逆に言えば、現在のVisaが提供する決済に関する各種プロダクトにおいて生成AIの採用はまだ進んでいないということになります。例えばVisaNetの不正検知も、生成AIでパフォーマンスが向上したり、VCASのスコアをさらにイシュアが活用できるようなソリューションにしたり、新たなプロダクトに繋がる可能性はあると田中氏は説明します。
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