大産大など、シリコン太陽電池の変換効率を向上させるナノドット構造を開発
マイナビニュース / 2024年7月12日 16時29分
大阪産業大学(大産大)、東海大学、核融合研究所(核融合研)の3者は7月11日、ナノ秒紫外レーザーによりシリコン太陽電池表面に20nm程度の先端を有するナノドット構造形成に成功したと共同で発表した。
同成果は、大産大の草場光博教授、同・平井健太氏(研究当時)、同・田中朋世氏(研究当時)、同・堤大輔氏(研究当時)、東海大/京都大学の橋田昌樹教授、核融合研の坂上仁志名誉教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英国物理学会出版局の刊行する応用物理学に関する全般を扱う学術誌「Journal of Physics D: Applied Physics」に掲載された。
現在の技術では、物質の表面にナノスケールの微細構造を形成することは可能になっている。そのナノ微細構造の工夫次第で、撥水性や抗菌性、無反射性など、材料にさまざまな機能性を付与させることが可能だ。
現在の太陽電池で一般的に利用されているシリコン太陽電池では、シリコン表面に1~10μmの大きさを持つピラミッド構造を形成することで、太陽光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率についておよそ20%が達成されている。しかし、再生可能エネルギーとして太陽光をさらに有効活用にするには、その変換効率をさらに向上させる必要がある。そのためには、太陽光スペクトルの最大強度となる500nm付近での太陽光をさらに太陽電池に吸収させるために、数百nm以下の大きさのナノ微細構造をピラミッド構造表面に形成する技術が求められており、それを実現できる技術として「モスアイ構造」や「ポーラス構造」、「レーザー誘起周期構造」(LIPSS)などが有望であると期待されている。
その3種類の中で、特にシリコン太陽電池表面上でのLIPSSは、他の方法と比較して時間の節約や結晶性の保持ができるという利点がある。そんな中で研究チームはこれまでの研究で、融解閾値フルエンス(フルエンスとは、1パルス・単位面積あたりのレーザーのエネルギーのこと)が0.5J/cm2以下のXeClエキシマレーザーパルスを用いて、シリコン太陽電池のピラミッド構造表面にLIPSSを形成させることに成功している。そして、反射率の減少はLIPSSの間隔と強く関係すること、LIPSSが形成された後も同太陽電池の結晶性が保持されていることも報告済みだった。
反射率をさらに低減させるためには、屈折率が上部から下部まで連続的に変化する三角形のナノドット構造(微小突起構造)を作製する必要がある。これまで、ナノドット構造の形成に関する研究はいくつかあるが、シリコン太陽電池の反射率低減に最適なナノドット構造の形状、大きさおよび密度ではなかったとのこと。そこで今回の研究では、発振波長248nm、パルス幅20nsのクリプトン・フッ素(KrF)エキシマレーザーを用いて、同太陽電池表面上に高密度に三角形ナノドット構造の形成を試みたとする。
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