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慶應大の新たなインキュベーション施設「CRIK信濃町」の価値を生み出す仕掛けとは

マイナビニュース / 2024年8月30日 13時0分

新堂氏は、今後は、コミュニティスペースを使って、さまざまなイベントを開催し、出会いの場を創出していきたいと語った。

「大学教員・研究者によるさまざまなワークショップや発表会、ピッチイベントなどを開催し、スタートアップやイノベーション・エコシステムに関わる人たちが聞きたい・集まりたいと思うトピックを、イベントにして発信していきたいと思っています。そうなれば、入居している会員の人たちも参加できますし、ビジターの方もそれを聞くためにこの施設に訪れることもあります。施設内で、50~100人規模のイベントを常に開催していれば、『何か一緒にやりませんか』といった共創も始まるのではないかという期待があります」(新堂氏)
慶應義塾大学病院の医療データを活用した研究も可能

また、施設は慶應義塾大学病院と同じ建物内にあるため、医療データを用いた共同研究ができる点も施設の特徴として挙げられる。施設内に独自のデータアクセスルームを備えており、研究計画の承認後、患者の同意を得て匿名化された大学病院の医療データにアクセスすることができる。

さらに、入居者に対して病院や大学内の教職員や研究者との接点をサポートするスタッフも複数名常駐している。スタッフは、大学との共同研究相談の支援や、ベンチャーキャピタルなどを紹介し、入居者の起業や事業拡大をサポートする。

このような先進的な取り組みを行うインキュベーション施設であるCRIK信濃町は、5月の開設以降、順調に入居者を増やしている。開設2カ月で10社の入居が決定し、検討中の会社も60社程度あるとのことだ。

ただ、開設に向けては苦労もあったという。コンセプトづくりから内装設計、業者の選定や解体・施工工事、関係部署との調整などを含めて1年の猶予しかなかった点だ。

「準備をきちんとしようとすれば、おそらくこういった施設であれば2年程度はかかると思います。それを1年で開設しなければいけないという時に、私たち大学がどのようなインキュベーション施設を作り、何を実現するのか、何を大切にしていくのかも含めて、本学のスタートアップ支援の思いや取り組みを理解し、一緒に議論してくれている電通にサポートしてもらうことにしました。今回のようなコミュニティ作りや施設整備、事業推進など多分野の人が企画に関わるプロジェクトでは、幅広いケーパビリティを有するプロジェクトマネジメントが重要だと思いますが、慶應義塾大学からその人材を出すのは難しい状況でしたので、その役割を電通にお願いしました。さまざまな検討を同時並行して進めており、時には利害関係者の衝突が起こりやすい時でも、電通に入ってもらうことで、タイムラインを意識した合意形成ができたと思います」(新堂氏)

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