JAMSTECなど、小惑星リュウグウの試料から84種類の有機酸などの検出に成功
マイナビニュース / 2024年7月16日 6時55分
海洋研究開発機構(JAMSTEC)、慶應義塾大学(慶大)、九州大学(九大)、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ、北海道大学、東北大学、広島大学、京都大学、東京大学(東大)の9者は、小惑星リュウグウの試料に含まれる可溶性成分を抽出して精密な化学分析を実施した結果、水と親和性に富む有機酸群や含窒素化合物など、合計84種類のさまざまな化学進化の現況と水質変成の決定的な証拠を解明。
その中には、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、乳酸、メバロン酸などのほか、有機-無機複合体であるアルキル尿素分子群も含まれており、物理因子と化学因子のみが支配する化学進化の源流が明らかになったことを7月11日に共同で発表した。
同成果は、JAMSTEC 海洋機能利用部門 生物地球化学センターの高野淑識上席研究員(慶大 先端生命科学研究所 特任准教授兼任)、九大大学院 理学研究院の奈良岡浩教授、NASAのジェイソン・ドワーキン主幹研究員らを中心に、40名超の研究者が参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。
初期分析により、リュウグウ試料に関する初生的な物質科学性状や元素存在度などが解明されているが、その中の可溶性成分のうち、特に水と親和性の高い有機成分の物質情報はまだ不明だったという。そこで今回の研究では、試料から可溶性成分を抽出し、高精度な分子レベルの解析を行うことにしたとする。
リュウグウの化学進化を解明する上で重要なキーワードは、水、有機物、鉱物、ヒストリーだとし、研究チームでは、初期状態の炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)などの有機物を構成する軽元素組成に物理・化学的な作用が加わった場合、初生的な有機物や分子進化の姿、水質変成による「分子指標」を観測できると予測していたという。
またリュウグウが、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ヒドロキシ酸などの親水性に富む有機酸群(具体的には、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、乳酸、メバロン酸など)に富んでおり、物理因子と化学因子のみが支配する非生命的プロセスとしての分子進化を考える上で重要な分子群として65種が、新たに同定されたとした。同様に、同じ抽出物からは、有機-無機複合体であるアルキル尿素分子群などの新種の含窒素分子が、19種発見されたとする。その中には、非生命的な物質進化の源流ともいえる分子種であるアミノ酸や核酸塩基、エネルギー代謝の原材料となる始原的物質も含まれていたという。
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