1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

窓辺の小石 第174回 逃走、テレメトリ

マイナビニュース / 2024年7月12日 20時15分

もっとも、その後の評判がどうなのかについては分からない。少なくとも現在のCEOになり、オープンソースソフトウェアやLinuxを敵視することはなくなった。しかし、過去のことを覚えているユーザーも少なくない。

マイクロソフトは、このテレメトリをWindows Updateでのエラー検出などにも利用している。Windows Updateでエラーが発生すると、テレメトリを介して、Microsoftに通知が行われる。テレメトリから影響を受けるデバイスを特定、対象デバイスへのアップデート配布を停止する「Safeguard Holds」という機能が働く。エラーを検出してから配布を停止するので完璧な仕組みではないが、多くのユーザーに致命的な結果がもたらされることを防ぐことができる。闇雲に診断データを集めている、というわけでもない。

Microsoftは、テレメトリから得た情報をWindows開発時のデータとしても使う。データは事実であっても、人間は、そこに見たい物を見てしまう。たとえば、Windows 8.0でスタートボタンが廃止されたが、Microsoftによれば、その根拠はテレメトリにあったという。Windows 7でタスクバーにプログラムアイコンをピン留めすることが可能になった。その結果、ユーザーがピン留めアイコンからプログラムを起動する頻度が高くなり、スタートメニューにアプリを登録して起動する頻度が低くなった。Windows 8の開発チームは、これを根拠にスタートボタンを廃止し、起動時にスタート画面が表示されるようにした。これは、当時急速に普及していたスマートフォンと同じで、タブレットやスマートフォン(Windows Phone)も想定したものだったようだ。

しかし、これは完全な誤算で、ユーザーは、これまで通り、起動するとデスクトップが表示され、デスクトップ全体を覆わないスタートメニューを望んだ。1つには、デスクトップにプログラムやファイルアイコンを置いているユーザーが少なくなかった。ユーザーはタスクバーから自分が登録したプログラムを素早く起動したかったため、起動直後にデスクトップやタスクバーがすぐに表示されることを望んだからだ。不評を解決するいくつかの対策が行われたのち、結果的にはWindows 8.1でスタートボタンが復活した。のちのWindows 10では、Windows 7と同じく、起動するとデスクトップが表示されスタートボタン/スタートメニューが復活した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください