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遺体を“帰す”ことを丁寧に描き込む――『GO HOME』従来の死因究明ドラマにない新鮮さ

マイナビニュース / 2024年7月13日 7時0分

その“奥行き”の部分で発揮されているのが、小芝と大島に共通する俳優の魅力としてある、一見すると芯が強く快活そうでありながら、それとは裏腹の危うさと脆(もろ)さが潜む、光と影のコントラストだ。実際に前半部分だけをみると、2人の明るさからカジュアルなキャラクタードラマにも映りそうだが、それはただの前振りで、中盤から後半にかけて徐々に明かされる2人の影の部分にドキッとさせられる。1話時点で、その“陰”の全てが明かされることはないが、今後もドラマを見続けようと思う吸引力と、誰よりも遺族を“帰す”ことに一生懸命な姿に、説得力を持たせることにも成功している。

○“生前の人物像”に焦点が当たり始めて起こる変化

最後に、このドラマの世界観を構築する演出にも新しいエッセンスが含まれていることに触れておきたい。

前半のポップな映像世界は、前期の『花咲舞が黙ってない』にも通じる日テレらしさがあるのだが、後半 “生前の人物像”に焦点が当たり始めると、神秘的な雰囲気も醸し出され、ラストに映し出される幻想的な風景は、実にファンタジック。また“生きた証し”を克明に映し出したリアルでもあり、それがまさに生と死…両極端がないまぜになった世界観のようで新感覚であった。そして今作の主題歌を担当するヨルシカが、第1話の物語に美しいリボンをかけてくれるようで、視聴後感も爽やかだ。

第1話で見せたスピーディーな展開は、“帰す”という今作のテーマをより強調させたい理由があったためだろう。しかし今後は、誰が犯人なのか?遺体は一体誰なのか?のミステリー部分に重きが置かれる回も出てくるのではないか。いずれにしても、遺体を家族の元へ“帰す”この作品が、今後どんな物語を見せてくれるのか、最後まで楽しみだ。

「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平 おおいしようへい テレビの“視聴質”を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(株式会社eight)の室長。雑誌やウェブなどにコラムを展開している。特にテレビドラマの脚本家や監督、音楽など、制作スタッフに着目したレポートを執筆しており、独自のマニアックな視点で、スタッフへのインタビューも行っている。 この著者の記事一覧はこちら
(「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平)



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