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テレビ局の現役社員が描く『報道協定』 初瀬礼氏、葛藤の中でリアリティ追求「ここまでだったら」

マイナビニュース / 2024年7月16日 12時0分

自身が報道記者として取材した事件をモチーフにすることで、リアリティあふれる作品を書くことは以前もあったが、今回は主人公が主人公だけに、そのレベルが数段上った印象だ。実際に誘拐事件の報道協定の渦中にいた同僚や先輩に取材し、当時の雰囲気や、協定に至る細かい手順などを、自身の記者経験も加味して忠実に描写したという。

働き方改革、若手の受身姿勢、役職定年、さらにヤラセの責任で閑職への異動といった部分も描いているが、ここは一企業としてのテレビ局のリアルが映し出されている。ただ、テレビ局の登場人物で、1人だけをモデルにして作ったキャラクターはおらず、「やはり現役の会社員なので、一般的に触れられる情報の範囲内にとどめて、会社の中にいる一つの典型的なキャラクターとして書いている部分もあります」と意識。

それでも、「ここまでだったら大丈夫だろうとか、ここまで書かないと面白くないだろうというところで、迷いながら書いていました」と、自分の中でせめぎ合いがありながら、リアルな描写を追求したそうだ。

一方で今作のポイントの一つである、ネットメディアが誘拐事件の報道協定に関わってくるという描写については、実例がないため、「自分がネットメディアを率いる立場だったらどうするのか。組織の中でも立場によって違いが出てくると思うので、そういったところを想像しながら書きました」とのこと。ちょうど現在、自身がテレビ局でネット系の事業を担当していることも執筆に生きたという。

また、より深いネットメディアの現状については当事者に取材し、「PVで結果を出さなければいけないプレッシャーや、外資の厳しい実力主義といった部分も盛り込みました」と反映させた。

●「マスゴミ」と揶揄されても…伝えたい思い

ネットやSNSの発達により、近年、マスコミが「マスゴミ」と揶揄されるなど、厳しい目で見られるようになってきた。そうした中で、マスコミの中にいる主人公を通して、組織のしがらみにもがきながら、矜持を持って仕事をしていることを伝えたい思いも「正直あります」と打ち明ける。

それと同時に、自分たちの仕事が“お手盛り”にならないことも強く意識。「ここはとても難しいところでした。テレビ局の人間が活躍すればどうしてもお手盛りになってしまいますが、だからといって“テレビの報道はダメだ”と書く気にはなれないですから」と腐心した。

近年は「記者クラブ」制度も、“権力との癒着”や“発表報道偏重”といった言葉で批判されがちだが、こと「報道協定」については、「多くの方が支持するのではないかと思います」と見ている。

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