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量研機構など、脳が見た物について視覚的に記憶するネットワークを特定

マイナビニュース / 2024年7月16日 12時35分

さらに、視覚記憶中に眼窩前頭皮質の活動を抑制した時に、同時に抑制が見られた側頭皮質前方部で、個々の神経細胞の活動がどう変化しているのかが調べられた。まず、覚えている時に活動が見られた側頭皮質前方部で個々の神経細胞の活動が調べられると、特定の物体を見ている時と、それを覚えている時の両方で活動する神経細胞が多く集まっており、PETによってマクロレベルで見られた覚えている時の脳活動は、ミクロな細胞レベルで見ると、こうした神経細胞の集団的な活動を反映していたことが確認された。

最後に、側頭皮質前方部の同じ神経細胞の活動を、眼窩前頭皮質の抑制前と抑制中とで比較が行われた。その結果、物体を見ている時の活動は眼窩前頭皮質を抑制しても弱まらず、覚えている時の活動だけが弱まることがわかったという。

それに加え、側頭皮質前方部における神経細胞のこうした特徴的な活動変容は、眼窩前頭皮質の活動を抑制していない正常な状態でも、サルが呈示された図形を覚えられなかった時に見られたことから、物体を覚えている時の側頭皮質前方部の活動は、単に覚えている時に見られるというだけでなく、サルが実際にその物体を覚えているかどうかを反映していることが示唆されたとする。

以上の結果から、側頭皮質前方部は、物体を見ている時には外から入って来るボトムアップの視覚入力によって活動するのに対し、見た物を覚えている時は、眼窩前頭皮質からのトップダウン入力によって記憶情報を保持し、かつそうした情報の保持が見た物を覚えておくのに必要である、ということが解明された。

今回の研究成果により、視覚記憶のメカニズムの理解が進むだけでなく、認知症などで障害された視覚記憶を回復させるなどの臨床応用も期待されるという。また、今回用いられたアプローチを応用することで、ヒトなどでのみ見られる高度な認知・情動機能や、脳疾患の症状に関わる機能不全についても、その背景にある未解明の脳ネットワークとその作動メカニズムを因果的に解明できることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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